- 日本で先に結婚したときに起こり得る
- 結婚証明書がない理由を説明書に記載
- まれに審査がストップすることもある
このページでは、配偶者ビザ・結婚ビザ申請における、結婚証明書の取り扱いについて解説しています。
この記事の目次
海外側の結婚証明書は審査に必須
在留資格「日本人の配偶者等」を申請する上で、外国の役所(大使館など)が発行する結婚証明書*は必須書類に指定されています。結婚証明書の添付によって、海外側でも正式に夫婦として登録されていることが立証できます。
*申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書を指します。
日本で先に婚姻すると結婚証明書を発行しない国がある

中国やアメリカ、カナダ等の大使館・領事館では制度上、結婚証明書が発行されません。この場合は、証明書なしで結婚ビザ申請を行います。
- 日本の市役所・区役所で婚姻届を提出
- 日本にある外国の大使館・領事館へ婚姻を報告
- 外国の大使館・領事館から結婚証明書を受領
日本側からの婚姻成立を選択した場合は、上記のように手続きが流れていきます。2の報告自体が不要な国もある一方で、報告自体は受け付けるが、3の結婚証明書は交付しない国など、婚姻制度はそれぞれ異なります。
海外側で先に婚姻した場合は、結婚証明書(Marriage Certificate)が交付されます。
結婚ビザ申請では説明書の添付が有効

配偶者ビザ申請では、結婚証明書が発行されないことを明記した「説明書」の添付がおすすめです。
審査する入管側も、結婚証明書が発行されない事情を把握していることが多いです。ただ、実務上は説明書(補足説明書)を作成・添付するのが望ましいとされています。
各国の大使館・領事館へ確認を取ろう

急に取り扱いが変わることもあるので、事前に結婚証明書が交付されるかの確認を取っておきます。
既に大使館・領事館から発行できません🙅♀️と案内を受けている方は飛ばしてください。所在地や電話番号については外務省の駐日外国公館リストが参考になります。
説明書には何を書けばいい?
- タイトル(結婚証明書に関する説明書,など)
- 説明書の作成日
- あなたの住所・氏名・捺印
- 大使館・領事館側の回答内容
- 婚姻証明として戸籍謄本のみを提出している旨
これらの項目が記入できていれば十分といえます*。用紙はA4サイズを用いてください。結婚ビザ申請において、海外側の結婚証明書が発行されない場合は「婚姻事実が記載された戸籍謄本」と「説明書」を提出しておけばOKです。
*あくまでも一般的な配偶者ビザ申請を想定しています。
必ず結婚ビザ申請が受理されるわけではない

説明書も万能ではありません。特に配偶者が短期滞在ビザで来日している際は注意してください。
- 短期滞在ビザで来日しているから
- 住民票に登録されていないから
- 在留カードを持っていないから
上記のような理由で結婚証明書の発行を断られた場合は、説明書(補足説明書)を添付しても結婚ビザ申請*自体が受理されない、または受理されても審査が途中でストップする可能性があります。
*在留資格変更許可申請,在留資格認定証明書交付申請を指します。
具体的な事例:短期ビザからの変更

短期滞在ビザで来日後、結婚手続きを済ませて、そのまま結婚ビザへ切り替えるケースが典型例です。
一切発行しない中国やアメリカ、カナダ等とは異なり、要件を満たせば結婚証明書を発行するが、短期滞在ビザで来日中の場合は要件を満たさないから発行しない、というスタンスの国(ベトナムなど)では、審査が上手く進まないこともあります。
どのように解決すればいい?
入管局
あなたの場合は海外側の結婚証明書も用意してください
説明書だけではNGです🙅♀️と案内された場合は、素直に従うしかありません。短期ビザからの変更を中断し、一旦本国へ帰国してもらったあと、本国の役所で結婚証明書を取得の上、認定申請(在留資格認定証明書交付申請)を行う方法などが挙げられます。
臨機応変に対応しよう
意外とゆるい大使館・領事館もあるので、本来はダメだけど、と前置きしてから結婚証明書を発行してくれるパターンがあります。また入管側も、結婚証明書を求めたり求めなかったりするので、ケースバイケースで対応しましょう。
その他の事例1:時間の都合で省略

海外側の結婚手続きは夫婦2人が現地で行う決まりになっている。ただ、仕事の事情で中長期間、海外へ渡航できないケースなどが該当します。
- 日本側の手続き(婚姻届の提出)は済んでいる
- 海外側の手続きには渡航が必要
- しかし時間がなくて海外へ渡航できない
- 以上の理由から海外側の結婚証明書がない
このような内容で説明書を作成しても、入管側は認めてくれない場合があります。絶対にNGというわけではなく、個別の状況を踏まえて判断されます。
どのように解決すればいい?
説明書だけではNGです🙅♀️と案内された場合は、とりあえず結婚手続きに必要な書類だけ現地へ郵送し、配偶者に役所で交渉してもらってください。特別に渡航なしで結婚証明書を発行してもらえるケースがあります。
それでもダメな場合は……
長期休暇や有給休暇を利用して海外へ渡航し、2人で婚姻手続きを終えてから、結婚ビザ申請(在留資格認定証明書交付申請)を行うことになります。
その他の事例2:市役所・区役所へ提出してしまった

日本側の結婚手続きの際に、再発行不可の結婚証明書を役所へ提出してしまったケースが該当します。
先に海外側で婚姻を成立させた場合は、日本側の役所へ婚姻届のほか「海外側の結婚証明書」を提出することになります。結婚証明書が再発行不可であれば通常、原本提示で済むよう交渉しますが、既に提出した方は結婚ビザ申請で提示できなくなります。
原則、一度提出した書類は役所から返却してもらえません。
どのように対処すべき?
婚姻届の記載事項証明書を「婚姻届を提出した市役所・区役所」へ請求します。一定期間が経過していると法務局へ請求することになりますが、ひとまず市役所・区役所に電話等で確認し、その後の指示を仰いでください。
婚姻届の記載事項証明書とは?

「婚姻届と、婚姻届を提出した際に添付した諸々の書類のコピーをホッチキスで留めた書類」です。
記載事項証明書の中に、海外側の結婚証明書のコピーも含まれるため、「原本を役所へ提出してしまった旨の説明書」と併せて結婚ビザの申請書類に追加すればOKです。
これから婚姻届を提出する人へ
このように、再発行不可の結婚証明書を役所へ提出してしまうと、少し面倒なことになります。手続きの際は、原本提示*で受け付けてもらえるよう窓口で交渉しましょう。
*もちろん、再発行ができる国(フィリピンなど)の場合は、原本を提出して構いません。
結婚証明書が取得できたら訳文をつけよう
もし、無事に海外の役所や日本にある大使館から結婚証明書が発行されたら、日本語訳も添付してください。翻訳業者に依頼しても、自分たちで翻訳してもOKです。
結婚ビザ申請で日本語訳は必須

個人で和訳する際は、翻訳文の最後に翻訳年月日・翻訳者の署名捺印・翻訳者の住所を記入します。
特別難しい表現はないので、Google翻訳などを用いながらチェックしてください。手書きでもパソコンでもOKです。和訳が不安、面倒に感じる方は、大使館側で提供している翻訳サービスや、民間の翻訳業者さんを利用するのもひとつです。
結婚証明書以外も和訳の対象
一部の申請では、追加資料として、母国の役所が発行する無犯罪証明書を提出したり、海外駐在者なら赴任先企業が発行する在籍証明を添付したりしますが、いずれにも日本語訳が求められます。原則、外国語の書類には訳文が必要と考えてください。
結婚ビザ申請で跛行婚はNG

一方の国で結婚が成立し、他方の国で結婚が成立していない状態のことを跛行婚といいます。
特別な事情のない限り、跛行婚での結婚ビザ申請は避けるべきです。中国やアメリカ、カナダ等では、日本側の婚姻が成立すれば、自国においても有効な婚姻として扱われますが、多くの国では現地役所や駐日公館*へ「婚姻の登録」が必要になります。
*日本国内にある外国の大使館・領事館のこと

結婚証明書の有無にかかわらず、両国での婚姻登録は原則必須です。跛行婚だと将来、海外移住する際にトラブルの原因になったりします。
おわりに
結婚ビザ・配偶者ビザ申請における結婚証明書について解説しました。結婚手続きは書類さえ整えば必ず上手くいくので、心配しなくてOKです。少しずつ進めてください🙆♀️