- 職業証明として法人登記簿の添付を推奨
- 役員報酬の設定額を確認しよう
- 会社名義の残高証明書は原則不要
このページでは、会社役員(取締役・経営者など)の配偶者ビザ・結婚ビザ申請について解説しています。
この記事の目次
結婚ビザ申請と職業証明について
結婚ビザの申請において、扶養者(身元保証人)の職業証明は必須ではありません。ただし、審査上は生計要件*が許可・不許可を判断する要素の1つになっているため、収入額のほか、あなたが役員に就任していることも立証したほうが有利になります。
*夫婦として生活できるだけの収入・資産があるかどうか
会社役員は法人登記簿を添付する
経営者を含めた役員は、法務局から取得できる法人登記簿謄本が職業証明資料に該当します。
- 履歴事項全部証明書
- 現在事項全部証明書
具体的には、上記の書類が職業証明として結婚ビザ申請に使用できます。いずれも最寄りの法務局窓口で受領するほか、オンラインでの請求も可能です。履歴事項全部証明書の枚数が多くなるようであれば、現在事項全部証明書を取得してください。
追加資料で求められる場合もある
まれに審査の途中で、入管局から追加資料として提出通知を受けるケースもあるので、最初から添付しておいて損はない書類です。
記載されている商号・会社名や本店所在地、役員に関する事項などから、あなた(日本人配偶者=身元保証人)の在職状況を立証していきます。
在職証明書の提出はNG
在職証明書は勤務先が発行する書類になるため、会社員などの被雇用者に対して交付されるのが一般的です。役員の方は注意してください。
職業証明といえば、たいてい在職証明書を指しますが、会社役員の配偶者ビザ申請では使用しません。雇用する側の役員(取締役)が作成しても、自分で自分が役員であることを証明する内容になるため、信憑性に欠けてしまいます。
在職証明書の代わりに法人登記簿を添付するイメージです。
在職証明書を使用できる人
役職上の役員で、従業員の延長として在籍している日本人配偶者(身元保証人)は、在職証明書が使用できます。
従業員扱いの役員は、法人登記簿(登記事項証明)に名前が載らないので、結婚ビザ申請では在職証明書を提出します。雇用する立場かそうでないかで判断してください。
結婚ビザ申請では役員報酬額が重要
配偶者ビザの審査項目である収入要件は、役員報酬の額が主な基準になります。
結婚ビザ申請において、役員の方は役員報酬*の設定額にも注意が必要です。節税をかねて報酬を調整している場合は、審査で不利になる可能性があります。
*会社役員に支給される報酬(被雇用者に支給される給与に相当するもの)
報酬額は多いほうが有利
役員報酬に関しては、税務上損金扱いにするため、毎月同額の報酬を受け取っている方が多いとされます。ただし、社会保険料の負担減などを意識して、意図的に低額にしている場合、結婚ビザの審査上マイナスに扱われます。
具体的な事例
- 月額の役員報酬8万円
- 年間の役員報酬96万円
仮に上記のように設定しているケースでは、年収96万円の扶養者とみなされるため、結婚ビザの身元保証人には適さず、在留資格の取得は難しくなると予想されます。「本当はもっと収入があります🙋♀️」は通用しないと考えてください。
年収250万円が審査のボーダー
ご夫婦の事情に左右されますが、年収は250万円が審査上の目安になります。市/区役所で発行される課税証明書から金額を確認されます。
なお、役員報酬が250万円を超えているからといって、一律に配偶者ビザが許可になるわけではありません。あくまでも許可・不許可を決定する要素の一部です。
配偶者ビザ申請に必要な課税証明書と納税証明書の概要まとめ報酬が少ない場合はどう対応する?
役員報酬の増額を定めた株主総会議事録を申請時に作成・添付する方法が一般的です。
ただし、事業年度開始日から3ヵ月が経過していると、一部損金扱いにならず、法人税等の負担が増加します。そのほか、短期借入金等の返済として処理しているケースでは、各内訳書を追加することもまれにあります。
従業員給与と違い、役員報酬はある程度自由に設定できますが、それが結婚ビザの審査をより複雑なものにしています。
法人の残高証明書は原則不要
結婚ビザ申請において、法人名義の残高証明書は不要です。提出しても審査にほぼ影響しません。
会社と個人は財布が別になるため、いくら会社(法人)の口座に預金があっても有利にはなりません。たとえ、従業員ゼロで構成員があなたのみ(一人会社)の場合でも、原則は個人の口座残高が審査の対象になります。
一方で、あなた個人の残高証明書は、金額次第で有利に扱われる場合があります。まとまった金額であれば添付を推奨します。
利用している金融機関から発行される「個人名義の残高証明書」は、結婚ビザ申請の必須書類ではありません。ただし、申請時点の資産状況を立証できるため、一般的には提出したほうがいい資料とされています。
結婚生活の継続性・安定性が審査のポイントになるため、劇的に許可率が上がる資料ではありません。なるべく提出しておきたい書類、という理解でOKです。
おわりに
会社役員(取締役・経営者)の配偶者ビザ申請について解説しました。この記事の内容は、会社員の方にとって関係のないことばかりです。言い換えると、役員の方がビザ申請に臨む際は、綿密な検討が求められますね💁♀️