- 質問書は日本人配偶者が作成
- ビザ申請で最も重要な書類の1つ
- 書類間の整合性を意識しよう
この記事では、配偶者ビザ・結婚ビザ申請における、質問書の書き方(記入例)を1ページずつ分けて解説しています。
この記事の目次
配偶者ビザの質問書とは?
在留資格「日本人の配偶者等」の認定申請・変更申請で必ず求められる書類です(全8ページ)。
結婚ビザ(配偶者ビザ)の審査では、質問書の記載内容が許可・不許可に大きく影響します。夫婦の出会いから婚姻までの経緯、双方の家族構成、職場から離婚歴に至るまで、審査にまつわる情報が網羅された書類です。
最新の原本は法務省Webサイトからダウンロードできます。
結婚ビザの種類 | 書類優先度 |
---|---|
在留資格認定申請 | 必須🙆♀️ |
在留資格変更申請 | 必須🙆♀️ |
在留期間更新申請 | 不要🙅♀️ |
質問書の書き方:1枚目
申請人(外国人配偶者)とあなたの基本情報を記載していきます。
1.申請人の国籍・氏名・性別
申請人(外国人配偶者)の氏名は、パスポートの表記に合わせて記載しましょう。SurnameやGiven nameを上から順に転記してください。
申請人氏名の転記方法
1から2の順番で転記します。ミドルネームがある場合も、そのまま書き写してください。
2.あなたの氏名・国籍
ここには日本人配偶者(あなた)の氏名と国籍を記入します。国籍・地域とありますが、日本とだけ記載すればOKです。
3.あなたの住所・居住地
番地などを省略せずに、住民票からすべて転記してください。また、住所の表記は「身元保証書」や「在留資格申請書*」と一致させるのがベターです。
*在留資格認定証明書交付申請書,在留資格変更許可申請書
住民票と違う場所に住んでいる場合は?
住民票上の住所と、現在の居住地を2行に分けて記入しておけば親切な書類になります。ただ可能であれば、申請前に住民票の異動を済ませておきましょう。
4.あなたの電話番号
自宅の電話番号(固定電話)がない場合は、記入例のように該当なしと記載してください。結婚ビザ申請において、固定電話がなくても不利にはなりません。
5.同居者の有無
住民票から同居者の氏名を転記すればOKです。ただし、住民票に記載のない人物も同居(世帯分離)している場合は、その人物の氏名も記載しましょう。既に外国人配偶者と同居しているご夫婦は、配偶者の氏名も併せて記入してください。
6.自宅の概要(自己所有・借家)
持ち家か賃貸かを選択します。賃貸の場合は、賃貸借契約書を参考に、月の家賃と間取りを記入してください。LDKの部分は、間取りに合うよう二重線を用いて構いません。実家に住んでいる方は、実家の情報を記載しましょう。
家族の持ち家で暮らしている場合は?
家族所有の物件に居住しているケースでは、自己所有を選択してください。余白部分や横に家族所有と付け足しておけばベターです。
7.あなたの勤務先
日本人配偶者(あなた)の勤務先を正式名称で記入します。個人事業主の場合は、屋号を記載すればOKです。職務内容に決まった書き方はないので、ざっくり把握できる程度の説明で構いません。
派遣社員の場合はどう記入する?
配偶者ビザの質問書には、派遣の概要を記入する項目がありません。そのため、記入例のように派遣元と派遣先を2行で記載すれば、より正確な情報を審査官へ伝えられます。
8.あなたの勤務先の所在地
日本人配偶者(あなた)の就業先住所を記入します。質問書には実際の勤務地が求められるので、A支店に在籍している場合はA支店の所在地を記載しましょう。
9.勤務先の電話番号・就職年月日
8と同様、就業先の電話番号を記入します。A支店在籍であれば、A支店の電話番号が求められます。また就職年月日は、在職証明書にも明記されているケースがあるので、双方の書類間でズレがないようチェックしましょう。
会社代表者や個人事業主の場合は?
株式会社や有限会社の代表であれば、同法人を設立した年月日を、個人事業主(自営業者)であれば独立した年月日を記載すればOKです。
質問書の書き方:2枚目
質問書の2ページ目には、国際結婚に至るまでの出来事を記載します。
1.結婚に至った経緯:時期と場所
初めて出会った時期と場所が求められます。知り合った時期ではないので注意しましょう。2月1日にSNS(アプリ)で知り合い、3月1日に直接対面した場合は、3月1日をこの項目へ記載してください。
日付を覚えていない場合は?
出会った日付を忘れてしまった方は、年月まで記入し、上記のように日付を二重線で消しておきましょう。ただし、結婚ビザの審査に影響する部分なので、なるべくパスポートやLINE等を見返しておくよう推奨します。
2.結婚に至った経緯:いきさつ
- 外国人配偶者が来日した年月日
- 外国人配偶者の親族へ挨拶した年月日
- あなたが渡航した年月日
- あなたの家族を紹介した年月日
- 結婚式や披露宴を挙行した年月日
- 交際日やプロポーズ日
- 観光時の印象的なエピソードなど
これらの出来事を時系列で記載していきます。書き方にルールはありませんが、左側に年月日、右側に経緯を書くなど、二分割したほうが見やすい書類に仕上がります。個人の気持ちや感情より、起こった事実を淡々と伝えるイメージで記入してください。
質問書には別紙を付けるべき?
別紙(適宜の用紙)に結婚までの経緯を記載する方法もおすすめです。別紙のことを理由書と表現する場合もあります。
質問書の別紙は作ったほうが有利になりやすいです。実務上、既存の(2枚目の)スペースでは行数が足りないと考えられるので、結婚ビザを扱う行政書士*・弁護士さんは別紙を作る場合が多いです。
*当事務所でも必ず別紙(各種理由書)を作成・添付しています💁♀️
質問書の書き方:3枚目
質問書の3ページ目は、紹介者の有無や夫婦間のコミュニケーションがテーマです。
1.紹介者の有無について
紹介を受けて申請人(外国人配偶者)と知り合った場合は、有を選択します。結婚ビザの申請では、紹介者も審査に含まれるため、極力不明と記載するのは避けましょう。
紹介者の在留カード番号とは?
日本に在住する外国人(短期滞在者以外)へ割り振られる番号を「在留カード番号」といいます。
日本人から紹介を受けたケースや、海外に在住している外国人から紹介された場合は、記入例のように該当なしと記載してください。
紹介者がいない場合はどう記入する?
第三者を介さず直接知り合ったご夫婦は、無を選択し、そのまま夫婦間の会話(5の項目)まで飛ばしてください。1から4の項目は何も書かなくてOKです。
2.紹介された年月日・場所及び方法
メッセージアプリ上で個人連絡先を教えてもらった場合など、紹介時点であなたと紹介者が離れた場所にいたケースでは、記入例のように場所:該当なしと記載すればOKです。年月日も結婚ビザの審査対象になるので、日にちまで正確に書いておきましょう。
参考:その他の記入例
「紹介者と居酒屋へ行き、店内で顔写真を見せてもらったあと、LINE上で個人連絡先を送ってもらい、帰宅後に直接連絡を取り始めた」ケースを想定しています。決まった書き方はないので、上記の記入例を参考にしてみてください。
3.紹介者と申請人との関係
「申請人」は外国人配偶者を指します。あなたとの関係ではないので注意しましょう。紹介者と申請人はから始めて、いつ頃、どこで知り合ったのかを記載できればベターです。親族や親戚の場合は具体的な関係(姪,叔父など)まで記入してください。
4.紹介者と配偶者との関係
「配偶者」はあなたを指します。適当に書くと入管局から追加書類を求められることもあるので、2~3行を目安に記載しておくとよいでしょう。
5.夫婦間の会話で使われている言語
知り合ってからの普段の会話や、メッセージアプリのやり取りで使用している言語を記入します。主に日本語で会話し、部分的に英単語で補足を入れるようなコミュニケーションであれば、日本語,英語と並べて記載してください。
6.申請人と配偶者の母国語
申請人(外国人配偶者)の母国語は複数記入して構いません。フィリピン国籍であれば英語,タガログ語のように記載してOKです。
質問書の書き方:4枚目
質問書の4ページ目も引き続き、夫婦間のコミュニケーション項目がメインです。
1.申請人の日本語能力・理解度
原則、結婚ビザの審査で日本語テストは実施されないので、おおよその自己申告で構いません。ただし、追加書類で証拠(日本語能力試験の合格証など)は求められ得るので、正直に回答しましょう。
2.あなたの外国語能力・理解度
申請人(外国人配偶者)の母国語の理解度を選択します。難しい=通訳が必要を選んだとしても、そこまで不利にはなりません。1と同様、正直に回答してください。
3.申請人の日本語学習期間・内容
- 技能実習生(研修生)として来日経験有
- エンターテイナー(タレント)として来日経験有
- 現地の日本語学校に通学していた
- 大学等で日本語を専攻していた
- 独学で数年間日本語を学んでいる
- 来日に向けて語学力の向上に励んでいる
- 日系企業に勤務し日本語を使用していた
上記のようなエピソードがあれば、積極的にアピールしましょう。いつからいつまで学んでいたかも記載します。結婚ビザの審査に大きく影響する部分なので、上手く記入してポイントを稼いでおきたいですね。
4.言葉が通じない場合の対処法
- 翻訳アプリを使用している
- 別の単語に言い換えている
- その都度テキスト等を用いて説明している
これらの方法で意思の疎通を図っている場合は、画像の記入例をベースに文章を組み替えてください。意思疎通に全く問題がないご夫婦は、コミュニケーションが完璧である旨*を記載しておけばOKです。
*「お互いの言葉が通じない場合がございません。」など
5.通訳者の氏名・国籍・住所
知り合ってから現在に至るまで、通訳者を交えて会話した経験(アプリ上でのやり取りも含む)がある場合は、通訳者の情報を記入します。結婚ビザの審査では、通訳者情報からもブローカー等の介在をチェックされます。なるべく不明は避けましょう。
通訳者がいない場合は?
記入例のように該当なしと記載します。空欄のままだと、書き忘れかどうかの区別がつかないので、空白での提出はNGと考えてください。
6.結婚届出時の証人2名
国際結婚を日本側で先に成立させた場合は、婚姻届に記載した証人の氏名と住所をこの項目へ転記します。電話番号は固定電話・携帯電話のどちらでも構いません。
海外側で先に結婚を成立させた場合は?
国際結婚を海外側で先に成立させた(海外で婚姻登録を終えたあとに日本の役所へ届け出た)場合は、上記の記入例をそのまま書き写してください。「報告的届出」の意味を深く知る必要はありません。
- 日本先行の婚姻創設的届出
- 海外先行の婚姻報告的届出
日本側の結婚手続きには2種類あり、創設的届出と報告的届出に分けられます。報告的届出でも婚姻届は提出しますが、証人は不要となるため、質問書に該当なしと記載します。
質問書の書き方:5枚目
質問書の5ページ目は、結婚披露宴と配偶者の来日歴がテーマです。
1.結婚式(披露宴)の有無
既に結婚式や披露宴を終えているご夫婦が記入します。海外で挙行した場合は、現地時間の日付で構いません。挙行場所については、最低でも都市名まで記載し*、式場やレストランを利用したのであれば、施設の名称も書いておきましょう。
*神奈川県 横浜市内のレストラン「**」,など
挙行予定の場合はどう書けばいい?
将来的に結婚式・披露宴を予定(計画)している場合は、上記のように記載します。本来、挙行予定の情報を質問書に書く必要はありませんが、記入しておけば結婚ビザ申請が有利に進みます。挙行場所が未定であれば、その旨*を書いておきましょう。
*「愛知県内を予定(式場等は未定)」など
2.結婚式(披露宴)の出席者
上が申請人(外国人配偶者)、下があなた(日本人配偶者)の親族欄です。書き間違いに注意しましょう。出席した親族に丸をつけますが、複数名いる場合は余白に*人と添え、記入例のように、まとめて囲めば親切な書類になります。
双方の出席者はどう算出する?
親族だけでなく、親戚や友人を含めた合計人数を記入します。正確な人数が分からない場合は、45人,70人のように、ざっくりと計算してください。
3.申請人と配偶者の結婚歴
双方の離婚歴・死別歴の有無を選択します。再婚の場合は、今回が何回目の再婚に該当するか(離婚した回数)を記入してください。結婚の回数ではないので注意が必要です。戸籍謄本に前婚の情報が残っている場合は、日付を合わせておきましょう。
2人とも初婚の場合はどう記入する?
あなたと外国人配偶者がともに初婚であれば、2ヵ所に初婚とチェックを入れるだけでOKです。そのまま4へ進んでください。
4.申請人の訪日歴・来日目的
来日回数は、意外と厳しく審査されます。結婚ビザの申請は「来日歴の欄に事実でない記載をした」ことが原因で不許可になり得るので、なるべくパスポート等を参照し、正確な回数や時期を記入しましょう。来日目的の欄はざっくりで構いません。
配偶者が日本に滞在しているケース
外国人配偶者が継続して日本に在留しているケース(在留資格変更許可申請)では、記入例のように現在と記載しておけばOKです。
質問書の書き方:6枚目
質問書の6ページ目は、あなたの渡航歴と申請人の法律違反歴がテーマになります。
1.あなたの渡航歴:結婚前
知り合ってから夫婦になるまでの間に、あなたが申請人(外国人配偶者)の母国へ渡航した回数と時期を記入します。パスポートのスタンプなどから日付を拾ってください。
結婚前と結婚後の基準日はいつになる?
先に婚姻を届け出た日が基準になります。2月1日に日本(海外)で結婚し、3月1日に海外(日本)へ婚姻を報告した場合、2月1日が基準日になります。
基準日より前に渡航した回数を1に記載します。申請人の母国へ渡航した際に、結婚手続きを行った場合は、同渡航を1の項目に含めてカウント(記入)してください。
2.あなたの渡航歴:結婚後
基準日より後に渡航した回数を記載します。回数をカウントする際、婚姻報告日は無視してOKです。結婚してから(現地で婚姻し日本に戻ってから)一度も渡航していない場合は、0回と記入しましょう。
3.退去強制及び出国命令の有無
名称 | おおまかな内容 | 入国拒否期間 |
---|---|---|
退去強制 | 強制送還のかたちで日本を出国すること | 5年~/永久拒否有 |
出国命令 | 自ら出頭したあとに日本を出国すること | 原則1年 |
過去にオーバーステイのほか、不法就労(資格外活動)などが原因で処分を受けたことがある場合は、有へチェックを入れます*。外国人配偶者から法律違反はないと回答が来たら、無を選択してください。
*退去強制歴があると、配偶者ビザの審査は当然不利に扱われます。
4.退去強制及び出国命令の概要・詳細
退去強制や出国命令を受けたことがある場合は、その詳細を記入していきます。3で無を選択した方は、何も書かなくてOKです。次のページへ進んでください。
質問書の書き方:7枚目
質問書の7ページ目には、双方の親族情報を記入していきます。
1.退去強制と同居事実
この項目は前ページからの続きになります。外国人配偶者に退去強制や出国命令の前歴がなければ、記入する必要はありません。2へ進んでください。
2.夫の親族情報
記入例は日本側の親族情報になっていますが、あなたの性別によって記入欄は変わります。日本人配偶者が女性の場合は3へ記入してください。親族がご逝去されている場合は、住所欄へ死亡と記載し、年齢と電話番号は空欄にしておきます。
3.妻の親族情報
外国人配偶者の親族の氏名は、極力フルネームで記載してください。漢字圏の場合は、漢字表記・アルファベット表記のどちらでも構いません。海外の住所は都市名(州名・省名)まで記入し、携帯電話番号等がない親族は該当なしとしておきましょう。
質問書の書き方:8枚目
質問書の8ページ目には、双方のお子様と結婚の周知状況を記載します。
1.お子様の有無など
外国人配偶者及びあなたの連れ子さんのほか、ご夫婦の実子について記入します。申請時点でお子様がいない場合は、氏名欄に該当なしと記載してください。
連れ子や実子がいる場合は?
- 外国人配偶者/妻息子1名
- 日本人配偶者/夫娘1名
- ご夫婦の実子娘1名
夫婦間で出生した子以外に、元配偶者との間にそれぞれ1名ずつお子様がいるケースを想定すると、上記のような記入例になります。日本の住所は番地まで記載しますが、海外の住所は都市名(州名・省名)まででOKです。
2.結婚を知っている親族
夫側と妻側で分かれているので、記入ミスに注意してください。なお、結婚を周知させることは社会通念上一般的とされるため、親族が国際結婚の事実を把握していないと、配偶者ビザの審査で不利に扱われる場合があります。
結婚ビザ申請と親族への報告について
丸をつけずに提出すると、申請後に「親族へ報告していない理由」を追加書類として求められるケースがあります。結婚を猛反対されている、不仲などの事情がない限りは、結婚したことを伝えてから質問書へ記入しましょう。
親族へ丸をつける際の注意点
丸のつけ忘れなど、些細な凡ミスが発生しやすい項目です。質問書の7ページ目に記載した親族情報を参照しながら、再度チェックしてみてください。
3.質問書の作成日と署名
最後に、質問書を作成した年月日と、あなた(日本人配偶者)の署名を記入すれば完成です。作成日と署名は自筆で記載しましょう。捺印は不要です🤗
おわりに
結婚ビザ・配偶者ビザ申請で提出する質問書を解説しました。更新申請(在留期間更新許可申請)では原則、質問書は求められないものの、再婚案件の申請においては、質問書の添付が推奨されています。