- 空港出国時・搭乗時に問題になりやすい
- 日本人側はセミナーに同席する必要なし
- セミナーを受講せずに来日できた人もいる
フィリピン国内で行われるCFOセミナーについて解説します。フィリピン人婚約者・配偶者がフィリピンの空港で出国を止められた場合や、CFOからセミナー・カウンセリングの受講を案内された方が対象です💁♀️
この記事の目次
フィリピン国のCFOセミナーとは
CFOはCommission on Filipinos Overseas(海外移住フィリピン人委員会)の略称で、大統領府直属の政府機関です。
海外に移住するフィリピン人を対象に、偽装結婚や人身売買の抑制、移住後の生活指導を目的として、CFOが執り行うセミナーやカウンセリングのことを、一般にCFOセミナーと呼びます。かんたんに言うと、日本移住前のオリエンテーションですね。
国際結婚はGCPの受講が求められる
CFOセミナーの中でも、日本人の婚約者や配偶者に該当するフィリピン国籍者はGCP:Guidance and Counseling Programを受講しなければなりません。CFOには色々なプログラムが用意されていますが、国際結婚の場合はGCPを選択しましょう。
セミナーを受けないとどうなる?
セミナーを受けずに日本へ渡航しようとすると、フィリピンの空港で出国を止められる場合があります。CFOセミナー:GCPを受講しなくても航空券の予約は可能ですが、渡航当日に空港審査官から出国拒否を言い渡される危険性を考慮するべきです💁♀️
なぜ空港で出国を拒否されるのか
フィリピン国籍者が訪日する場合、事前に日本大使館から査証の発給を受ける必要があります。
この査証には日本への入国を認め、推薦する意味合いがあるものの、フィリピンからの出国に関しては何も保障していません。言い換えると、査証はあくまでも、日本へ上陸する際の必須アイテムに過ぎません(入管法7条1項)。
CFO側の主張・スタンス
「日本への入国を認めない」ではなく「我が国からの出国を認めない」というロジックです。
つまり、日本の査証:ビザを所持していても、フィリピンから出国させるかどうかの権限はこちら側にある、というのがCFOのスタンスです。以上の理由から、日本の入国許可を得ているのに、空港で止められてしまうトラブルが発生します。
セミナーはいつ受講するべき?
CFOセミナーは、日本大使館から査証:ビザが発給されたあとに受けるのが一般的です。
上記画像のようなシール(査証)がフィリピン人側のパスポートに貼られてから、CFOセミナー:GCPの申し込みを行ってください。ほとんどのケースでは、セミナー受講の際に日本国査証:ビザの原本提示またはコピーの提出が求められます。
CFOセミナーの受け方・申請方法
📌オンライン上での申し込みが可能
📌CFOに提出する書類の収集
📌オンラインでの受講も可能
📌受講者によっては実施されない
📌日本へ渡航できるようになる
CFOセミナーの受講手続きはざっくりとこのように進んでいきます。なお、セミナーやカウンセリングのオンライン受講は、フィリピン政府の意向で予告なく中断される可能性があるので注意してください。それでは、各手続きを順番に見ていきましょう🙆♀️
1.CFO公式サイトから申し込む
はじめに、CFOの公式サイトへアクセスし、GCP:Guidance and Counseling Programのページに進みます。CFOの支部はマニラ、セブ、ダバオの3ヵ所にあるので、最寄りのCFOオフィスを選択するようお相手に伝えてください。
なお、現地のCFOオフィスに出向かず、すべての説明会をオンラインで受講したい場合は、OF-CORSと呼ばれる登録システム(下記画像)を利用しなければなりません。
OF-CORSの案内ページからシステムにアクセスし、必要事項を入力の上、パスポートの顔写真ページや査証:ビザの画像データをアップロードします。オンラインGCPの申し込みは月曜日から木曜日の現地時間午前7時から午後5時までが受付期間です。1日あたりの定員数が決まっているので早めに登録しておきましょう🙆♀️
2.CFOの必要書類
- 受講者のパスポート原本&コピー
- 受講者の査証:ビザ原本&コピー
- 受講者の顔写真付のIDカード2枚
- 申立人:日本人側のパスポートのコピー
- PSA発行の結婚証明書(既婚者のみ)
CFOセミナーの一般的な必要書類は上記のとおりです。セミナー:GCPの受付が完了すると、CFOから説明会に関する連絡が届くので、そのときに必要書類のリストや書類の提出方法が通知されます。提出書類は受講者によって異なるので注意してください💁♀️
必要書類の英訳について
CFOはフィリピンの機関なので、仮に日本語で記載された書類(戸籍謄本など)の提出を求められた場合は英訳しなければなりません。
当事者自身(あなたたち)による英訳は不可と指示された場合は、第三者に依頼することになります。翻訳会社さんや英訳対応できる行政書士などを利用してください。
IDカード:身分証明書について
代表的なものはSSS ID、Voter’s ID、Driver’s License、GSIS E-Card、PRC/IBP Card、PWD ID、Postal IDなどが該当します。フィリピンの身分証明書は種類が多いですね。
3.セミナー&カウンセリングを受講
オンラインでCFOセミナーを受講する場合、現地のCFOオフィス(マニラ,セブ,ダバオ)に向かう必要はありません。
個別にカウンセラーが割り当てられ、ビデオ通話アプリを用いてセミナーや面談が実施されます。ビデオ通話アプリはGoogle MeetやZoomが主に使用されるので、予め端末にインストールしておきましょう。オンラインであっても日本人側は参加不要です🙅♀️
- 双方が知り合ったきっかけ
- 交際期間
- 対面歴がある場合はその時期と場所
- 双方の親族との対面歴
- 日本に渡航する理由と目的
- どの都道府県にどれくらい滞在するのか
- 日本人側の住所・職業・年齢
受講者によっては、CFOセミナーの最中に細かい質疑応答や確認が行われます。CFO側も偽装結婚を懸念しているわけですね。交際や婚約の経緯をきちんと回答できれば、セミナー自体もスムーズに進むので、受講前に2人でおさらいしておきましょう。
4.グループセッションの実施
初回のCFOセミナーを受けたあと、2回目のプログラム:グループ面談を案内される場合があります。このあたりは受講者の属性やセミナーの形式(オンラインGCPかどうか)で判断が分かれるため、CFOの指示に従ってください🙋♀️
セミナーの所要時間も受講者によって様々です。数十分で終わる方もいれば、休憩を挟んで数時間に及ぶケースもあります。
5.手数料納付&受講証明書の受領
画像のような受講証明書(Guidance and Counseling Certificate:GCC)が交付されれば、CFOセミナーの手続きは完了です。原本の送付や宅急便の手配などを依頼する場合は、200から500ペソ程度の手数料が発生します。フィリピンから日本へ渡航する際に、証明書を出国時の空港で提示するようお相手に伝えてください🙆♀️
短期滞在ビザとCFOセミナー
短期滞在ビザを用いた出国の場合は原則、CFOセミナーを受講する必要はありません。ただし、受講を強制される場合があります。
短期滞在ビザは文字通り、短期間日本に滞在しフィリピンへ戻ることを前提に発給されるビザです。つまり、配偶者ビザと異なり、短期ビザは移住を目的に訪日するわけではないので、本来CFOセミナーは不要です。しかし空港のイミグレーションがCFOの受講を押し付けてきたら、その指示に従うしかありません。
- 出国を希望する人物が女性
- 90日間の短期ビザを所持している
- 婚約者として訪日しようとしている
これらに該当するフィリピン人は、仮に短期滞在ビザを用いた出国であっても、空港で止められる可能性が高くなります。基本的には短期ビザの概要を説明し、移住目的の渡航ではないことを空港審査官に理解してもらうよう交渉する流れになりますが、イミグレーションが受け入れない場合は大人しくCFOを受講してください💁♀️
当事務所では依頼者様の申請内容に応じて、可能な限りの回避策や対応策を個別に案内しています。
よくある質問
最後に、CFOセミナー:GCPの手続きに関する2つの質問に回答します。
CFOを受けないと絶対に出国できないの?
- 日本国籍者と国際結婚する
- 配偶者ビザで出国する(移住する)
上記のいずれかに該当するフィリピン人は、CFOセミナー:GCPの受講が原則必須になります。ただし、セミナーを受けずに何事もなく出国できた方もまれにいます。フィリピンの入管は良くも悪くも大雑把なので、運が良いとこういうことが起こりますね。
CFO宛の必要書類が揃わない場合は?
CFO側の担当者:カウンセラーによっては、必要書類の提出を後回しにして手続きを進めてくれる場合があります。準備に時間のかかる書類(英訳文書や日本側で手配する書類など)を求められたら、一度相談してみることをおすすめします。
以上がフィリピンのCFOセミナーの解説です。フィリピンの空港審査官は統一的な対応をしてくれないケースが目立つので、臨機応変に対応してください🙂