- あなたの収入・納税状況を確認するのに必要
- 年収は250万円程度がボーダー
- とりあえず2つとも役所で取得しよう
このページでは、配偶者ビザ・結婚ビザ申請における、課税証明書や納税証明書について解説しています。
結婚ビザ申請で課税証明書を提出する理由
結婚ビザ(配偶者ビザ)において、課税証明書は年収・所得額を証明するために提出します。厳密には、前年度の収入に基づく住民税の金額を証明する書類ですが、ビザ申請上は「収入を証明する書類」という認識でOKです。
課税証明書の見本・サンプル
原則、課税証明書は最寄りの市役所・区役所で取得できますが、自治体によって名称は異なります。名称が下記のいずれかである場合、すべて証明内容は同じです。
- 所得課税証明書
- 課税所得証明書
- 課税台帳記載事項証明書
法務省Webサイトでは何と記載されている?
これらの書類のことを、法務省Webサイトでは「配偶者(日本人)の住民税の課税(又は非課税)証明書」と紹介しています。少しややこしい表現ですね😅
課税証明書のどこに収入額が書いてある?
赤枠内にあなたの前年度の収入・所得が記載されます。給与収入や営業所得が目印です。
結婚ビザの申請では原則、この部分に印字された収入額をもとに審査が進んでいきます。あなた(日本人配偶者)の職業によって反映される場所が異なるので、詳しく見ていきましょう。
日本人配偶者が会社員・会社役員
会社員・会社役員の場合は、給与収入や給与支払金額と記載された箇所をチェックしてください。
- 給与収入金額
- 収入(給与収入)
- 給与所得(収入金額)
市区町村によって微妙に表現は異なりますが、上記のようなキーワードが付されています。この金額が結婚ビザ申請における年収額です。
日本人配偶者が個人事業主
個人事業主(自営業)の場合は、合計所得の欄をチェックすればOKです。
「営業所得」や「営業等所得」の欄と同じ金額になっているケースも多いですが、合計所得の金額が結婚ビザ申請では基準になります。
結婚ビザ申請では250万円がボーダー
一般的に、結婚ビザでは月収20万円、年収換算で240~250万円あたりが審査のボーダーになるといわれています。個人事業主の方は、売上ではなく、年間の所得が250万円以上かどうかを参考にしてください。
- 会社員・会社役員年収250万円
- 個人事業主合計所得250万円
許可が保証されるわけではない
収入がいくら以上なら許可、というかたちで配偶者ビザは審査されません。
250万円を超えていても不許可になり得る一方で、ボーダーより低くても結婚ビザが付与されるケースはあります。収入は審査項目のひとつと考えてください。
課税証明書の発行元・年度について
前述のとおり、課税証明書は市役所・区役所で取得できますが、直近で転居している方は要注意です。「その年度の1月1日時点で住民票を置いている市役所・区役所」へ請求をかけるのがルールになっています。
転居していると発行元が異なる場合もある
- 1月1日時点A市(A区)に居住中
- 現在B市(B区)に居住中
このケースでは、B市(B区)の役所で課税証明書は発行されません。1月1日時点で住所があったA市(A区)の役所へ請求をかけます。
もっと具体的にまとめると
最寄りの市役所/区役所で発行を断られたら、転居前(引っ越し前)の市役所/区役所へ請求しましょう。郵送で取り寄せることも可能です。
年度は毎年5月~6月に切り替わる
課税証明書の年度は、どこの役所も5月~6月中に切り替わります。つまり、3月や4月に請求すると去年の書類が発行されますが、そのまま結婚ビザ申請に使用してOKです。年度が切り替わるまで待つ必要はありません。
5月以前に取得した場合
年度が切り替わっていないため、タイトルが昨年度で、かつ2年前の収入が反映されます。
役所側のデータ更新が完了していないため、昨年度の書類が最新のものとして扱われます。このまま提出して構いません。
6月以降に取得した場合
年度が切り替わっているので、タイトルが今年度で、かつ1年前の収入が反映されます。
この時期になると、昨年度の課税証明書は結婚ビザ申請において不適切です。申請書類の準備中に年度が切り替わる場合は、新しいものと差し替えておきましょう。
年度と証明できる収入額は1年ずれる
- 令和2年度の課税証明書令和1年1月~12月の所得を証明
- 令和1年度の課税証明書平成30年1月~12月の所得を証明
令和2年は現在進行中なので、今年の収入(所得)はまだ証明できません。勘違いされる方も多いですが、タイトルの年度と記載される収入は必ず1年ずれます。言い換えると、結婚ビザの審査では、去年または2年前の収入が基準になります。
窓口で依頼するときのコツ
請求する際に「最新の課税証明書をください」と伝えておけば安心ですね🙆♀️
結婚ビザ申請にはマイナンバーカードが便利
未対応の市町村もありますが、マイナンバーカードを持っていれば、コンビニのマルチコピー機からでも課税証明書を発行できます。
この先、配偶者ビザの更新や永住権の申請でも各種証明書が求められるので、このタイミングでマイナンバーカードを作っておくのもひとつですね。
納税証明書も課税証明書と一緒に取得しよう
結婚ビザ申請では、住民税の納税証明書も必要になります。市役所・区役所で取得できるので、課税証明書と一緒に請求しておきましょう。
納税証明書の見本・サンプル
この証明書をもとに、審査官はあなた(日本人配偶者)がきちんと住民税を納めているかを確認します。当然、住民税の滞納があると不利に扱われます。あなたが会社員で給与から天引きされている場合は、会社が納税しているので心配無用です。
申請用紙のチェック欄に注意
役所の窓口で記入する用紙に、滞納のない証明書や滞納がないことの証明書といった項目がある場合は注意してください。結婚ビザを申請する際は、納税証明書の欄にチェックを入れましょう。
納税証明書の発行元は?
課税証明書と同様、最寄りの市役所・区役所で取得できます。「1月1日時点で住民票を置いていた役所へ請求する」というルールも同じなので、直近に転居した方は転居前の市役所・区役所へ郵送請求*をかけてください。
*もちろん、役所まで出向いて直接請求することも可能です。
税務署でも納税証明書を取り扱っているので、間違えないようにしてください。
コンビニ交付サービスは自治体による
納税証明書はマイナンバーを用いたコンビニ交付サービスの対象外になっているケースが多いです。
交付サービスの有無は各自治体によります。コンビニで納税証明書が取得できない場合は、直接請求または郵送請求を利用してください。
納税証明書の年度について
ほとんどの役所では、毎年5月~6月中に年度が切り替わります。課税証明書とほぼ同じです。
時期的に昨年度の納税証明書しか取得できなくても、そのまま結婚ビザ申請に使用できます。課税証明書のケースと同様に、最新の書類として扱われます。
納税証明書の有効期限は?
納税証明書の有効期限は3ヵ月です。申請前に期限が経過すると取り直しになります。
課税証明書の有効期限も3ヵ月です。期限ギリギリの書類を提出すると、申請後に再提出となる可能性が高くなります。取得後は迅速に書類作成へ取り掛かりましょう。
日本人配偶者が個人事業主の場合
あなた(日本人配偶者)が個人事業主の場合、住民税の滞納には注意が必要です。未納と滞納の違いを理解しておきましょう。
滞納になっていない納税証明書
- 未納税額20,000円
- 納期未到来税額20,000円
上記の例は「20,000円の住民税を納付していないが、そもそも納付期限がまだ先」であることを意味します。未納と表記されていますが、滞納ではないのでセーフです。結婚ビザ申請に使用できます。
「未納税額」と「納期未到来税額」の数字が同じなら大丈夫、という認識でOKです。
滞納になっている納税証明書
- 未納税額20,000円
- 納期未到来税額10,000円
この例は「20,000円の未納があり、その中の10,000円分の納付期限はまだ来ていない」ことを意味しています。つまり、差額分の10,000円が滞納状態*になっています。審査で不利になるので、納税を済ませてから再取得しましょう。
*ちなみに、親切(?)な役所はハッキリと滞納額を明記してくれます。
納付しているのに滞納となるケース
役所のデータ反映中に取得した場合も、似たような表記になることがあります。面倒ですが、期間を空けてからの再取得を推奨します。
結婚ビザ申請における証明書の省略について
ビザ申請では証明書の省略が一部認められていますが、初見での判断は難しいです。なるべく両方取得してください。
法務省Webサイトでは、総所得と納税状況が記載されていれば、どちらか一方でOKと紹介されています。ただし、ピンと来ない方は、両方を取得しておきましょう。
駐在経験や転職歴がある場合の取り扱い
日本人配偶者に長期の駐在経験がある場合は、課税証明書や納税証明書が発行されないこともあります。また直近で転職しているケースでも、別途追加で資料を添付したほうが結婚ビザ申請で有利になり得ます。
駐在経験者と課税・納税証明書
日本へ帰国した時期が「年度の1月1日」より前か後かで状況が変わります。
「年度の1月1日」より前に帰国し住民票を戻せば原則、課税証明書と納税証明書は市役所・区役所から発行されます。ただし「年度の1月1日」より後に帰国した場合、これらの書類はどの役所からも発行されません。
理由は長くなるので「そういうルールになっている」と理解してください。
課税・納税証明書が発行されない場合の結婚ビザ申請
役所から発行できません🙅♀️と案内されたら、その旨を記載した「説明書」を作成しましょう。
住民票の内容から見当はつきますが、説明書も添付したほうが親切な申請書類になります。A4用紙にパソコンまたは手書きで下記の項目*を書いておけばOKです。
- タイトル(課税・納税証明書に関する説明書,など)
- 説明書の作成日
- あなたの住所・氏名・捺印
- いつからいつまで海外に駐在していたか
- 令和×年度の課税証明書・納税証明書が発行されない旨
*あくまでも一般的な結婚ビザ(配偶者ビザ)申請を想定しています。
課税証明書に代わる収入立証資料を追加
「発行されませんでした🙏」だけだと、入管側も審査のしようがないので、あなたの収入を立証できる資料も併せて添付します。以下の書類が代表的なものです。帰国後も会社員として在籍している場合は、最低でも1と2は用意したいですね。
- 在職証明書
- 給与明細書のコピー(直近3~6ヵ月分程度)
- 給与支払(見込)証明書
- 源泉徴収票
- 労働条件通知書のコピー,など
課税・納税証明書が発行される場合
仮に課税証明書が発行されても、多くのケースでは年収額が中途半端に反映されます。
課税証明書には本来、1月から12月までの合計収入が記載されます。ただし、あなたが前年の9月に帰任し、再び日本国内で給与を受け取り始めた場合は原則、9月から12月までの給与額しか反映されません。
補足資料として収入立証資料を追加
課税証明書・納税証明書が発行されないケースと同様、下記のような書類を補足的に添付してあげると親切です。課税証明書には「何月から何月までの給与か」までは記載されないため、結婚ビザ申請では別紙で月別の給与額を立証していきます。
- 在職証明書
- 給与明細書のコピー(直近3~6ヵ月分程度)
- 給与支払(見込)証明書,など
課税証明書に年収が全額反映されていない旨の説明書も作成しておけばさらに親切です🙆♀️
転職時期によっては給与額が反映されない
直近に転職し、課税証明書の証明期間から外れると、現在の収入が立証できなくなります。
令和2年度の課税証明書は、令和1年1月~12月までの収入を証明します。つまり、令和2年1月以降に転職していると、転職後の給与が反映されなくなります。
給与明細書のコピー添付を検討しよう
退職してすぐ転職先で勤務を開始したのであれば、そこまで不利にはなりません。ただ、退職から再就職までの期間が数ヵ月以上空いている場合は、給与明細書のコピーも追加したほうが結婚ビザ申請では有利になるでしょう。
おわりに
結婚ビザ・配偶者ビザ申請における課税・納税証明書について解説しました。課税証明書の収入が自身で試算した収入と異なっている際は気を付けてください。