- 自営業者・個人事業主が準備する書類
- 審査の基準は収入ではなく所得金額
- 所得証明のほか職業証明としても使用
このページでは、配偶者ビザ・結婚ビザ申請における、確定申告書控えの取り扱いについて解説しています。
この記事の目次
確定申告書は必須書類ではない
法務省が公表する結婚ビザ申請の必要書類に確定申告書は明記されていません。つまり、提出しなくても申請は受理されます。ただ、後々求められる場合もあるので、添付しておくことをおすすめします。
確定申告書は誰が提出する?
一般には個人事業主(法人成りしていない自営業者)が提出するべきとされています。
会社員や公務員の場合は?
会社員などの、いわゆる雇用される立場の人は原則、確定申告書は提出しなくてOKです。通常、所得税等の手続きは会社側で行うので、そもそも申告書は届きません。
申告書はコピーの提出でOK
確定申告書控えの原本は提出しないでください。控えのさらにコピーの添付で構いません。
基本的に結婚ビザの審査では、提出した資料は返却されません。確定申告書はビザ申請以外にも様々な場面で使用するので、自宅保管でOKです。
何年分のコピーを取ればいい?
直近1年分をコピーしてください。今年度の申告がまだ手続き中、もしくは前年分が現時点で最新のものであれば、前年分のコピーを取ります。
結婚ビザの申請では所得金額が重要
結婚ビザ・配偶者ビザの審査で、事業の売上高はあまり関係ありません。審査の基準になるのは所得額で、250万円程度がボーダーになると考えられます。
所得額の記載はどこにある?
上記赤枠の金額が審査で主に確認されます。この金額のボーダーになるとされるのが250万円というわけですね。もちろん、250万円を超えていても不許可になるケースはあり、一方でそれを下回る所得で許可が下りた事例も多くあります。
所得額のボーダーはあくまでも目安と考えてください。
節税の程度に注意
日本人配偶者
本当はもっと収入があります😅
節税を目的として所得額を低めに計算している方は注意が必要です。結婚ビザ・配偶者ビザの申請では、申告した金額が基準になります。つまり、書類上の所得が低ければそれだけ不利に扱われます。
具体的な例
- 本来の所得額約300万円
- 書類上の所得額約100万円
上記のようなケースでは原則、2の金額を前提に審査が進みます。十分な預貯金等がある場合を除いて、所得が100万円であれば、夫婦での生活はままならないと判断されるでしょう。何かしらのリカバーが必要になります。
どうやってリカバーすべき?
当面の間は問題なく暮らせる程度の口座残高証明書類の添付や、身元保証人の追加が候補になります。
通帳のコピーや、金融機関から発行される残高証明書を申請書類に加えるほか、あなた以外にも身元保証人を立てることで、所得額の少なさをある程度カバーできます。
確定申告書の受領印に注意
電子申告(e-Tax)を利用せずに確定申告を済ませた場合は、申告書の控えに税務署の収受日印・受領印が押されます。この受領印が結婚ビザの審査では重要視され、押印のない確定申告書控えは資料に使用できません。
税務署に提出した申告書と同じかどうかの判断がつかないからです。
収受日印・受領印はどこでもらえる?
- 確定申告書と控えを税務署へ持参したとき
- 郵送時に確定申告書と控えを同封したとき
原則は上記2つのタイミングで受領印がもらえます。受領印の押印によって、確定申告書の受付日を証明できます。
電子申告(e-Tax)を利用した場合は?
電子申告(e-Tax)を利用した場合は、収受日印・受領印の代わりに受信通知を印刷・添付します。
e-Taxで申告すると税務署まで行く必要がないので、収受日印・受領印をもらえません。そのため、受信通知が受領印の代わりになると考えてください。ちなみに「e-Tax」は「国税電子申告・納税システム」を指します。
まとめると何を印刷すればいい?
- 直近年度の確定申告書Bの控え
- 受信通知(受付結果)
上記2点を印刷すればOKです。印刷はカラーでも白黒でも構いません。
受信通知(受付結果)はどこにある?
自宅のPC等に保存していない場合は少し面倒ですが、「e-Tax受付システム」にログイン後、「メッセージボックス一覧」へアクセスすれば確認できます。
参考 受信通知の確認について国税庁受領印や受信通知がない場合
どうしても受領印や受信通知が準備できない場合は、仕方がないのでそのまま添付することになります。ただ、結婚ビザの申請は書面審査なので、黙って添付しても審査官に意図は伝わりません。そこで、別途説明書を作成します。
説明書には何を書くべき?
- タイトル(確定申告書に関する説明書,など)
- 説明書の作成日
- あなたの住所・氏名・捺印
- 受領印ないし受信通知を準備できない理由
上記の項目が記載されていれば十分です。「税務署へ郵送した際に収受日印をもらうのを忘れてしまいました」など、軽く理由にも触れておきましょう。
A4用紙で作成してください。文面は手書きでも構いません。
提出しないのもひとつの方法
審査上の必須書類ではないので、あえて提出しないのもひとつです。
結婚ビザ申請において、確定申告書の控えは提出できるなら提出したほうがいい書類のひとつです。このあたりの判断は難しいですが、受領印等がないなら無理に提出しなくてもいいかな、と個人的に思ったりします。
職業証明としての確定申告書
日本人配偶者
課税証明書*があるから申告書は不要じゃないですか?🤔
確定申告書は所得金額を証明するほか、個人事業を営んでいることそのものの証明にもなります。つまり、あなたの職業を立証する目的もあるので、申告書は添付したほうがいいとされています。
*市/区役所が発行する年収の証明書
結婚ビザ申請は職業証明も重要になる
結婚ビザ・配偶者ビザの申請では、夫婦に日本で暮らしていけるだけの経済的基盤があるかどうかを厳しく審査されます。もちろん、審査の対象になるのは年収ですが、どの職業に就いているか、という側面からも経済基盤はアピールできます。
具体的には?
- 毎月の収入に大きな波がある職業
- 売り上げが比較的安定している職業
これら2つのケースを想定すると、ビザ申請では2のほうが有利に扱われます。つまり、あなたが2に該当する場合は、積極的に確定申告書を利用するべきです。
会社員の場合、職業証明に相当するのは、企業から発行される在職証明書です。
質問書にも職業を記入する欄はある
必須書類である質問書の1ページ目下部にも、あなたの職業について記入する項目はあります。
「質問書へ記載するから確定申告書は提出しなくて大丈夫」という意見もありますが、質問書は自己申告で作成する書類です。そのため、書類に客観性を持たせる目的も込めて、当サイトでは確定申告書の添付を推奨しています。
身元保証書等との整合性にも注意
質問書のほか、身元保証書や在留資格の申請書*にも、あなたの職業情報を記入します。
書類作成の過程で、あなた(身元保証人)の職業情報は色んな書類へ転記されていきます。特に電話番号は固定・携帯をバラバラに記入せず、なるべく統一させるのが望ましいでしょう。確定申告書に記載されている番号で揃えるのもひとつです。
*在留資格認定証明書交付申請書,在留資格変更許可申請書など
おわりに
結婚ビザ・配偶者ビザ申請の「確定申告書控え」について解説しました。提出する範囲については、個々の事情にも左右されますが、基本的には「第一表」のみのコピーでOKと考えてください。