- いずれも会社側が発行する書類
- 原本は返却されないので適宜コピーを添付
- 書類がなければ代わりの資料を準備する
このページでは、配偶者ビザ申請の提出書類に指定されている雇用予定証明書と採用内定通知書をテーマに解説しています。
この記事の目次
雇用予定証明書と配偶者ビザ申請
雇用予定証明書とは、かんたんに言うと「企業がその人の雇用を予定していること」を証明する書類です。配偶者ビザ申請では、市役所・区役所から課税証明書や納税証明書が発行されない場合の代替書類として提出します。
課税証明書上の所得金額(年収)が正確に反映されていない場合にも、雇用予定証明を提出することがあります。
雇用予定証明書の記載項目
- 会社名/事業所名
- 就労者の氏名
- 雇用の開始日
- 勤務先所在地
- 見込み月収(給与)
雇用予定証明書に決まった書式はありませんが、一般的には上記のような項目が設けられます。なかでも、配偶者ビザの審査で特に重要視されるのは見込み月収(給与)の欄です。こちら側で記載事項を選択できる場合、給与額は必ず選んでおきましょう。
見込み給与はいくらあればいい?
月収20万円がひとつの目安になります。ただし、給与額の多い少ないは数ある審査項目のひとつでしかなく、またご夫婦の状況によって求められるボーダーも変わります。あくまでも参考程度にとどめてください。
配偶者ビザ申請に必要な収入目安は月20万円:少ない場合の対処法は?証明書は入社前に発行されるの?
記事後半で解説する「労働条件通知書」と異なり、雇用予定証明書は就労者全員に交付される書類ではありません。むしろ発行しない企業のほうが多いので、希望者が直接会社へ作成を依頼する流れとなります。
誰の証明書が必要になるのか
夫婦のうち、扶養しているほうの雇用予定証明書を準備します。日本人配偶者が生活費を支払う場合は、日本人配偶者名義の証明書が必要です。
外国人配偶者が生活費を主に負担するケースでは逆になります。外国人配偶者が勤務予定先に対して、雇用予定証明書を請求します。なお、配偶者ビザ申請の性質上、夫婦の一方に絞る必要はありません。夫婦が共働き(予定)で、双方の課税証明書・納税証明書が発行されない場合は、2名分の雇用予定証明書を添付してもOKです。
採用内定通知書と配偶者ビザ申請
採用内定通知書は大きく分けて2種類あります。会社印や雇用条件が記載されたものとそれ以外です。それぞれの内定通知書を順番に説明していきます。
社印や雇用条件付きの内定通知書
勤務時の条件などが一覧で記載され、かつ会社の押印があるタイプの採用内定通知書です。この形式は書類自体の信憑性も高く、入管局の審査官が知りたい情報も明記されているので、配偶者ビザの申請ではベストといえます。
内定通知書は再発行できるの?
入社予定の企業によります。会社の規則で再発行可能な場合でも、時間を要することがあるので、早めに依頼しておきましょう。
コピーを提出してもいい?
配偶者ビザ申請では、原本の添付が必要です。ただし、再発行できない場合や、転居時の手続きなどで今後も提示しなければならない事情がある場合は、コピーの提出が認められ得ます。入管局へ事前確認すれば確実ですね🙆♀️
配偶者ビザの申請場所まとめ:どこの入管窓口へ提出する?同封書類が記載された内定通知書
会社印がなく、就業条件が明記されていないタイプの採用内定通知書を指します。この形式は押印がないため、書類の信頼性に欠けます。つまり、第三者が勝手に作成した可能性を排除できません。また、肝心の給与額や勤務開始日が確認できないので、配偶者ビザの申請で使用するには不完全といえます。
追加送付が必要になることも
入管局や出張所で申請を終えたあとに、追加書類のかたちで別途資料を提出するケースがあります。このタイプの採用内定通知書を課税証明書(納税証明書)の代わりとして添付する場合、追加提出通知の届く確率は高くなります。
事前に書類を添付しておこう
必須の手続きではありませんが、当事務所は、申請のタイミングであらかじめ補足資料を添付するよう推奨しています。どの書類を準備するかについては、次章の内容と重なるので、このまま読み続けてください💁♀️
上記の資料がない場合の対応
手元に雇用予定証明書や採用内定通知書がない場合は、そのほかの書類を用意します。代表的な3つの資料を順番に見ていきましょう。
- 労働条件通知書のコピー
- 雇用契約書のコピー
- 給与明細書のコピー
これらの資料は、出入国在留管理庁の必要書類ページにある「上記に準ずるもの」を指していると考えてOKです。
最低でもどれか1部を提出できればベターです。複数用意できるならば、それらをまとめて添付してください。
労働条件通知書のコピー
法律上、労働条件通知書は社内規則に関係なく、アルバイトを含めた雇用者全員へ交付されます(労基法15条,労基法施行規則5条)。
労働条件通知書の明示事項は法令で定められています。そのため、企業間による内容のばらつきがありません。審査官の知りたい情報がひと通り記載されることになるので、配偶者ビザの申請では使い勝手のいい書面といえます。
雇用契約書を兼ねているケース
企業によっては「雇用契約書兼労働条件通知書」というかたちで発行されます。書面のタイトルが違っていても、明示事項に関しては同様のルールが適用されるため、そのまま配偶者ビザ申請に使用できると解されます。
データで受領しているケース
労働条件通知書は、PDFファイル等を用いた交付も一部認められています。データ受領の場合は、コピーの概念がないので、印刷したものを直接提出します。
雇用契約書のコピー
雇用契約書を交わしている場合は、契約書のコピーも有効な資料になり得ます。双方の押印も確認できるため、信憑性のある資料として扱われます。
雇用契約書の交付に法的義務はありません。したがって、持っている人とそうでない人に分かれます。なお、配偶者ビザ申請ではコピーを提出する場合がほとんどです。契約書が複数枚にわたっている場合は、すべてのコピーを取ってください。
申請書類は原則A4サイズに統一します。ただし、元がA3サイズであれば、同じサイズでコピーを取りましょう。
給与明細書のコピー
雇用予定証明書や採用内定通知書がある方も、添付しておいて損はない資料です。配偶者ビザ申請でよく目にする書類のひとつですね。
申請のタイミングは少し遅れるものの、待っていれば給与明細書は必ず発行されます。審査官へ明細を見せることで、本当に見込み通りの収入額かどうかを伝えられるので、意外と使用頻度の高い書面です。
何ヵ月分の明細が必要?
期間が長いほど平均を取れるので、一般的には3~6ヵ月分のコピー添付が望ましいとされています。なお、急いでいるなどの事情があるケースでは、直近1ヵ月分の明細を添付し、すぐに申請を行う場合もあります。
入社後に申請したほうが有利になる
根本的な話になりますが、勤務を始める前の申請と、勤務後に申請するケースでは後者が有利です。言い換えると、入管局へ申請書類を提出する時点で、実際に給料が支払われた(支払われている)実績があると、配偶者ビザの審査は優遇されます。申請時期に特段のこだわりがない方は、なるべく後ろにずらすようおすすめします。
加えて、入社後であれば「在職証明書」を取得できるようになります。予定ではなく、現に在職中であることを立証できる書類です。
なお、試用期間中は在職証明書を発行しない会社も存在します。交付を断られた場合は、所属証明として雇用予定証明書または採用内定通知書を提出してください。
配偶者ビザ申請は在職証明書を提出しよう:どこで取得する?なぜ雇用予定証明が必要なのか?
基本的に、審査官は申請者である夫婦の申し出を疑うのが仕事です。入管局が滞在費用の証明書類(雇用予定証明・採用内定通知)を欲しがる理由は、金額の多寡を確認する以上に、第三者による証明を見て安心したいから、という意味合いが大きいです。
給与や貯金額に関して、自己証明(自分で作成した証明書)はあまり効果がありません。自分以外の第三者による証明書が基準になると考えてください。
審査官の意図を知るコツ
入管局は雇用予定証明書や採用内定通知書そのものを見たいわけではありません。内容を見たいだけなので、極端な話、全く別の書類で代用することも可能です。必要書類を集めたり、記入項目を埋めたりするたびに、審査官はなぜこの情報を求めているのかを意識すれば、許可率は自然と上がっていきます。
日本人配偶者(あなた)が心配する箇所は、同じように入管局も疑問に思う可能性が高いと認識してください。
雇用予定証明書・採用内定通知書を解説しました。やみくもに書類を添付しても、入管側の印象は悪くなるだけですが、出すべき情報を提示しないのはもったいないです。審査する立場になって、バランスの取れた申請書類を提出したいですね🙆♀️