- 一時帰国しなくても配偶者ビザは取得可能
- 日本にいる親族に協力をお願いしよう
- ただし必要書類や申請手続きは複雑になる
このページでは、海外に居住しているご夫婦の配偶者ビザ申請について解説しています。家族で一緒に帰国したいと考えている方は参考にしてください🤗
この記事の目次
配偶者ビザを取得し夫婦で一緒に帰国したい
海外在住中のご家族が配偶者ビザ(在留資格)を取得するケースで、最も多い申請理由は「夫婦そろって帰国するため」です。具体的には、下記のような事情で申請するご夫婦が対象となります。
- 子どもを日本の学校や保育園に通わせたいので移住する
- 海外での仕事が終わり帰任する運びとなった
- 日本で暮らす親族と同居することになった
日本人配偶者が先に帰国するのが一般的
配偶者ビザは「日本で暮らすため」に申請・取得するものなので、本来は、少なくとも日本人配偶者(あなた)が日本国内に居住している必要があります。厳密にいうと、自身の名義の住民票を発行できることが最低限の要件です。日本に住民登録がなければ、申請すらままなりません。
あなたが数日間日本に一時帰国し、その間に配偶者ビザの申請だけしてすぐに戻るといった方法も、原則は認められません。
普通の配偶者ビザ取得の流れ
先に日本人配偶者(あなた)が日本に戻り、住民登録や勤務先、新居などの手続きを済ませてから妻・夫を迎え入れる流れが通常です。事前に外国人配偶者の受け入れ体制を整えてから申請するパターンですね。
どうしても一緒に帰国したい場合は?
この記事を見ている方の多くは「いや、何とかして夫婦で日本に戻りたい🤔」と考えているかもしれません。そこで、次の章からは、日本在住の親族に協力してもらって、配偶者ビザを取得する方法について紹介します。
最初にざっくり説明すると、日本人配偶者の親や兄弟姉妹が、外国人配偶者を代理で呼び寄せるようなかたちになります。
外国に居住する夫婦の配偶者ビザ申請方法
海外に在住しながら、配偶者ビザを取得し、夫婦で一緒に帰国する場合は、日本で暮らす親族(あなたの親や兄弟姉妹など)に申請を手伝ってもらうことになります。海外の夫婦が行う手続きと、日本の親族が行う手続きを順番に見ていきましょう。
海外側の夫婦がすること
👉結婚証明書やパスポートのコピーなど
👉在留資格認定証明書交付申請書や質問書など
👉FedExやEMSを用いて日本に送る
基本的に、申請書類の大部分は日本人配偶者(あなた)が作成します。この点は通常の配偶者ビザ申請と変わりません。なお、日本人配偶者は帰国後の職業や収入見込み額に関係なく「身元保証人」を担います。
実務上、帰国した時点で無職かつ無収入が確定しているケースでも、あなたが身元保証書にサインするべきと解されます。
日本側の親族がすること
👉外国在住の夫婦が郵送した書類を指します
👉一部の書類には親族の署名も必要です
👉親族名義の住民票や課税証明書など
👉親族が代理で入管窓口(出張所)に申請
親族の範囲については、3親等内の姻族や6親等内の血族が対象です(民法725条)。ただし、実際は親に頼むケースが圧倒的に多く、次点が兄弟姉妹です。役所や入管窓口に出向いてもらうことになるので、お願いしやすい近い身内に協力を依頼しましょう💁♀️
親族も身元保証人を担う
海外在住者の配偶者ビザ申請では、日本にいる親族も、外国人配偶者の身元保証人を担います。
そのため、親族名義の住民票や収入証明資料(課税証明書や在職証明書)が必要になります。あなたたちご夫婦が、帰国時点で無職・無収入になるケースでは、親族の年収額や預貯金が審査で参照されるということですね。
実家を生活の拠点にする夫婦が多い
来日できてから当面の間は、日本人配偶者の実家で生活するご夫婦が多い印象を受けます。
新居の契約を後回しにして、生活が安定するまでの間、一旦実家で暮らすご夫婦はとても多いです。配偶者ビザの申請においても、家賃が発生しないため、実家を拠点にする場合は少し審査が緩やかになります。海外在住中の夫婦は、書類のやり取りだけでなく、帰国後の生活面も協力してもらえれば有利になります。
【最新】配偶者ビザ申請の身元保証書の書き方:身元保証人の役割も解説来日までの期間・スケジュール
必要な手続き | 期間の目安 |
---|---|
申請書類の準備,作成,受け渡し | ~1ヵ月 |
配偶者ビザの申請(認定申請),結果通知 | ~3ヵ月 |
査証申請,入国準備 | ~1ヵ月 |
ご夫婦や協力者の状況にもよりますが、入国予定日(帰国予定日)の半年前から着手すれば問題ないといえます。なお、海外在住者は認定申請(在留資格認定証明書交付申請)を用いて配偶者ビザを取得するのがセオリーです。現時点で外国に暮らしている妻・夫の配偶者ビザは「認定申請」で取得すると覚えておきましょう。
認定申請と査証申請はセット
認定申請の場合は、海外現地(ご夫婦が住んでいる地域)の日本大使館・領事館で「査証申請」が必要になります。この点も一般的な配偶者ビザ申請と変わりません。ひとまずは査証申請がセットになると理解しておいてください。
【配偶者ビザ】査証申請書・ビザ申請書の書き方と記入例:日本語訳も紹介海外在住の事例に決まった手順はない
この章で紹介したSTEP.1からSTEP.7を順番通りに進める必要はありません。親族が申請書類を入管窓口に持参できればOKなので、あなたが一時帰国して一気に書類を集めても構いません。ご自身の都合に合わせてスケジュールを組み立ててください🙆♀️
配偶者ビザ(海外在住類型)の必要書類
- 協力者(追加身元保証人)は日本人配偶者の実父
- 帰国後は当面実家に暮らす
上記の状況を仮定して、海外在住中の夫婦が、配偶者ビザを申請する際の必要書類を見ていきましょう。夫婦で準備する書類と、親族が集める書類の2つに分けて解説します。
外国に居住中の夫婦が準備する書類
必要書類の名称 | 補足 |
---|---|
在留資格認定証明書交付申請書 | 入管庁WebサイトからDL可能 |
質問書 | 入管庁WebサイトからDL可能 |
身元保証書(日本語版) | 入管庁WebサイトからDL可能 |
外国人配偶者の証明写真(縦4cm×横3cm) | 申請前3ヵ月以内に撮影したもの |
結婚証明書(Marriage Certificate) | 海外の役所から発行されたもの |
結婚証明書の日本語訳 | 個人で翻訳したものでも可 |
スナップ写真 | 夫婦や親族が写っているもの |
メッセージ履歴 | LINE等のアプリのやり取り |
理由書(書式自由) | 今回のビザ申請に至った理由を記載した書面 |
外国人配偶者のパスポートのコピー | 顔写真のあるページのみでOK |
各必要書類の詳細を知りたい方は、当サイト内に個別の解説ページがあるので参照してみてください。なお、金額にもよりますが、夫婦の名義の銀行口座がある場合は、日本の口座に送金した上で、当該口座の残高証明書を用意できればベターです。
帰国後の勤務先が確定している場合
配偶者ビザの申請時点で勤務先が決まっているケース(海外駐在を終え帰任する方など)は、帰任後の勤務場所や部署名、給与額などが記載された書面を会社から発行してもらいましょう。給与支払見込証明書を併せて添付できればベストですね🙆♀️
海外で得た給料額は審査にほぼ影響しない
駐在期間中(赴任期間中)の給与額も、配偶者ビザの審査にほとんど影響しません。
あくまでも、審査官は「日本に帰国してから」の収入を知りたいので、外国の企業から発行された給与明細書などは、提出してもあまり意味がない資料といえます。
協力者が準備する書類
必要書類の名称 | 補足 |
---|---|
住民票 | 市役所・区役所で取得 |
戸籍謄本 | 市役所・区役所で取得 (日本人配偶者と協力者の名義分を各1部) |
課税証明書 | 市役所・区役所で取得 |
納税証明書 | 市役所・区役所で取得 |
残高証明書 | 銀行等の金融機関で取得 |
在職証明書 | 勤務先で取得(会社員の場合のみ) |
身元保証書(日本語版) | 入管庁WebサイトからDL可能 |
返信用封筒 | 404円分の切手を貼り付け |
戸籍謄本については、双方の名義分を取得するよう推奨します。なお、それ以外の書類は、すべて協力者(今回のケースでは日本人配偶者の実父)の名義のものを用意してもらいます。協力者が会社役員の場合は法務局発行の法人登記事項証明書を、個人事業主の場合は確定申告書のコピーを在職証明書の代わりに添付します💁♀️
海外在住類型における収入立証の考え方
夫婦の帰国後の就職先が未定の場合は、追加の身元保証人(協力者)が扶養するものとして、当該協力者の収入状況が審査の対象になります。この部分が、通常の配偶者ビザとの大きな相違点であり、海外在住中の申請が複雑になる理由とされています。
帰国後に就職活動を行い、自分たちで生活費を負担する意思があっても、意思だけでは配偶者ビザの許可が下りないということですね。
来日後の住所は確定させておこう
今回のケースは、夫婦が日本人配偶者の実家で生活することを想定しているので、協力者の住民票が居所証明として機能します。配偶者ビザの申請で「帰国後の住所は未定です😉」は通用しないので、申請する前に夫婦の居所を決めておいてください。
配偶者ビザが付与されたあとは、好きな時期・タイミングで引っ越しできます。
課税証明書の取り扱いについて
通常、配偶者ビザの申請には、日本人配偶者の課税証明書(納税証明書)が必須とされるものの、海外在住者に対しては原則発行されません。
あなたの課税証明書が発行されないなら、他の書類を提出するしかありません。入管局は本人の課税証明書そのものを見たいわけではなく、書類から読み取れる経済状況を知りたいだけです。そのため、協力者(追加身元保証人)の課税証明書以外にも、資産状況を証明できる資料*があれば、代替書類として添付しましょう。
*協力者名義の残高証明書や在職証明書も、こういった理由から取得を推奨しています。
海外在住中の夫婦からよくいただく質問
最後に、弊所がよくお受けする質問をまとめておきます。協力者や子どもの有無、短期滞在ビザからの変更に関するトピックを紹介します。
協力者がいない場合の配偶者ビザ申請は?
身元保証人になってくれる親族がいない場合は、日本人配偶者(あなた)が先に帰国しなければなりません。あなたが単独で身元保証を担う、普通の配偶者ビザ申請を検討することになります。この事例の詳細に関しては、以下の記事を参照してください。
海外赴任や駐在後の配偶者ビザ申請で提出すべき書類は?子どもと一緒に帰国したい場合は?
外国人配偶者のお子様、いわゆる連れ子さんのビザも一緒に取得することが可能です。連れ子さんのビザは在留資格「定住者」に該当するので、配偶者ビザと定住者ビザを同時に申請することになります。なお、来日時の通学先・通園先が決まっている場合は、当該学校・保育園などが発行した案内資料も添付できればベターです。
外国人配偶者と連れ子さんのビザを、日本の親族(あなたの親)が代理で申請するイメージです。
短期滞在ビザから配偶者ビザに変更できる?
一旦、外国人配偶者が短期ビザ(観光ビザ)で入国し、そのまま配偶者ビザに切り替えることも実務上は可能です。ただし、短期ビザからの変更申請は難易度が上がります。そのため、すべての手続きを自分で行う予定の方は、なるべく避けてください。
海外在住夫婦の配偶者ビザ申請について解説しました。この記事は、自分たちで申請したい方を対象にしましたが、もちろん弊所でも同様の業務を取り扱っています。海外に在住したまま申請すべきか、先に日本人配偶者が帰国するべきかも踏まえてアドバイスしますので、ご検討いただければ幸いです💁♀️