- 小説ではないので文章の巧拙は関係ない
- 時系列を意識しながら記述しよう
- トピックごとにパラグラフを作成する
このページでは、配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の申請で作成する理由書・結婚経緯書を解説しています。在留資格認定証明書交付申請のほか、在留資格変更許可申請における書き方が対象です🤗
配偶者ビザの理由書とは?
結婚に至るまでの経緯を文章にまとめて、偽装結婚ではないことを審査官に伝える書類です。
簡単にいうと「申請人に配偶者ビザを交付するべき理由」が記載された書類を理由書といいます。申請理由書や結婚経緯書も名前が違うだけで内容は同じです。質問書などの申請書類(あらかじめ用意された項目)だけでは伝えきれない情報を、分かりやすく理解してもらうための資料、という認識でOKです🙆♀️
なお、追加書類として提出する書類を「理由書」と表現する場合もあります。この記事では最初に行う申請(認定申請・変更申請)における理由書を解説しているので、追加書類について知りたい方は以下の記事を参照してください。
配偶者ビザ申請で追加書類(資料提出通知書)が届いたときの対応質問書2枚目の上位互換といえる
実務的な話をすると、質問書の2ページ目を切り離し、詳しく記述した別紙が理由書に相当します。
例えば、就労ビザの申請では、卒業証明書や勤務歴証明書など、第三者(学校や会社)の発行する証明書が審査の正当性を担保してくれます。一方で、配偶者ビザの申請にそのような資料はありません。戸籍謄本や結婚証明書には「どのような交際を経て婚姻したか」までは書かれていませんね💁♀️
本人による主張&立証がすべて
配偶者ビザの審査は、ご夫婦自らによる立証が許可・不許可のポイントになります。書き込む枠が小さい、狭いからといって記述を省くのは悪手です。こちら側の情報は出し惜しみせず、赤裸々に記入したほうが有利になります。
理由書と質問書を作成する順番は?
自分で作成する場合は、先に質問書を完成させてから理由書の準備に取り掛かったほうがスムーズかもしれません。もちろん、先に理由書を作成したあと、抜粋するかたちで質問書を埋めても構いません。とにかく、理由書と質問書の記載内容に矛盾が生じないようにするのが大切です。
理由書の提出は必須ではない
理由書を書けば、どんなケースでも一発逆転でビザが取れるわけではありません。
せいぜい「この申請は微妙だな~🤔」という状況から、グイっと許可に引っ張れる程度です。不許可になるときはなります。裏を返せば、理由書を書かなくても許可が下りる夫婦はいます。ただし、配偶者ビザの審査に100%はないので、理由書を添付したほうが許可率は上がります。やり過ぎ(伝え過ぎ)位で丁度いい、といった感覚ですね。
色んなサイトで「理由書を作れ」と書かれているのはこういう事情からです。
理由書を提出するメリット
「入管側に自分たち夫婦の状況を細かく伝える」以外に理由書を添付するメリットはありません。審査官が申請書類に目を通すとき、当然2人の馴れ初めなんて知りません。むしろ「この夫婦に怪しいところはないか?🤨」と疑ってかかるのが彼らの仕事です。
婚姻の経緯を伝える手段
理由書の添付は、入管側の抱くイメージをクリアにし、よりスムーズな審査を促す手段に過ぎません。
派手な起承転結や特殊な言い回しは不要で、小説みたいに綺麗にまとめようとしなくてOKです。婚姻に至るまでの事実(5W1H*)さえ伝われば、基本的にどんな書き方でも構いません。言った言わないの話にしないため、書面にまとめるのが大切です。
*When:いつ,Where:どこで,Who:誰が,What:何を,Why:なぜ,How:どのように
感情先行型に注意しよう
理由書は夫婦の気持ちだけ記述しても意味がありません。「実際に起きた出来事」と「気持ち」の比率は7:3程度で書くよう推奨します。
ご自身で(自分で)配偶者ビザの理由書を作成したケースで、よく見受けられるのは逆のタイプです。気持ちが先走るあまり「当時の感情がどうだったか」を重点的に記載し、5W1Hが欠けている理由書は、ダメな書き方の代表例です。
- 相手の家族に婚約の挨拶をした
- 歓迎してくれたので嬉しかった
上記の事柄を理由書に記載するときは、例のように「出来事」と「気持ち」をざっくり2つに分離してみます。そして1の記述に7割の力を使い、残りの3割で夫婦や同席していた親族側の感情を書くイメージです。ぶっちゃけ、気持ちの部分はなんとでも書ける(嘘を書いても追及できない)ので、入管側も重視しない傾向にあります。
もっと具体的な解説
例えば1の記述で「交際を始めた2年後に、相手の家族と食事の席を設け、婚約の挨拶を行いました」と書くのは不十分といえます。審査官は何も知りません。そのため以下の点に留意して、もっと掘り下げて記述できればベストですね🙆♀️
- 何年何月の話かをきちんと示す
- 現地に渡航した?それとも日本に招待した?
- 食事会はレストランで?実家で?
- あなたの親族は同席した?あなた1人だけ?
パラグラフのおさらい
パラグラフを意識すれば、あなたの理由書はもっと良くなります。「1つのトピック(話題)について述べた文の集まり」がパラグラフの定義です。配偶者ビザの審査と直接の関係はないものの、単純に見やすくなるので、入管側に好印象を与えられます。
ひとまず、パラグラフは文章で形成された“かたまり”という認識でOKです。
- 1つのパラグラフには1つのトピックだけを書く
- 完成したパラグラフを順番にはめ込むイメージ
- 出来事の時期と場所はなるべく明らかにして記述する
この3つのルールを守れば、理由書の全体像が把握しやすくなります。結果的に情報の読み落としを防ぎ、入管側は配偶者ビザの許可・不許可を論理的に検討できるようになります。入管法に「理由書」という言葉は出てきませんし、決まった書き方もありません。でもどうせなら、理路整然とした理由書を書きたいですね🙋♀️
理由書の書き方と見本:配偶者ビザ
それでは実際に、配偶者ビザの理由書の書き方に入っていきます。見本の画像は、5つのパラグラフ(文章のブロック)に分けています。順番に見ていきましょう💁♀️
手書きで書く必要はありません。文書作成ソフト(WordやGoogleドキュメントなど)を用いて作成してください。署名のみ手書きです。
認定申請と変更申請が対象
はじめに、この章で解説する理由書は、配偶者ビザの中でも在留資格認定証明書交付申請(認定申請)と在留資格変更許可申請(変更申請)が対象です。
更新申請(配偶者ビザの延長)について知りたい方は、最後の章まで読み飛ばしてください。
基本的な形式・書式
配偶者ビザの理由書は、上記のような形式を採用すればOKです。タイトルは申請理由書のほか、結婚経緯書でも構いません。宛名は法務大臣 殿にします。あなたが東京に住んでいても、大阪に暮らしていても、宛名は全国共通で法務大臣です。
もし、あなたたちご夫婦が在留資格変更許可申請(変更申請)を行う場合なら、このように連名で署名するよう推奨します。既に同居しているなどの理由で、かんたんに署名が貰えるケースでは、なるべく夫婦の連名にしておきましょう。
在留資格認定証明書交付申請の場合は、無理に連名にする必要はありません。
1.序章・プロローグ
在留資格認定証明書交付申請(認定申請)の場合は、下記の文章をコピペすればOKです。オレンジ色の部分はご夫婦に合わせて適宜変更してください。
私は、申請代理人の田中 太郎と申します。この度、ベトナム国籍のJane Doe(以下、「妻」と表記します)との婚姻に伴い、出入国管理及び難民認定法第7条の2に基づく「日本人の配偶者等」在留資格認定証明書交付を希望しております。以下、申請代理人として申請理由をご説明申し上げます。
認定申請では通常、申請人(外国人配偶者)が海外に居住しているため、日本人配偶者が申請代理人として入管局へ書類を提出します。
あなたは立場上、配偶者ビザの申請代理人を担うことになるので、理由書内にもそのように記述しています。厳密には身元保証人との兼任になりますね💁♀️
参考 出入国管理及び難民認定法第7条の2Wikibooks在留資格変更許可申請(変更申請)の場合は、下記の文章をコピペしてください。認定申請と同様、オレンジ色の部分はご夫婦に合わせて適宜変更します。
私は、申請人の夫の田中 太郎と申します。この度、ベトナム国籍の申請人Jane Doe(以下、「妻」と表記します)との婚姻に伴い、出入国管理及び難民認定法第二十条に基づく「日本人の配偶者等」在留資格変更許可を希望しております。以下、当事者夫婦として申請理由をご説明申し上げます。
変更申請では、申請人(外国人配偶者)が既に日本国内に居住しています。そのため、申請人本人が入管局へ書類を提出するのが原則です。
上記の理由から、一般的な配偶者ビザの在留資格変更許可申請では、申請代理人が登場しません。日本人配偶者は、あくまでも「申請人の妻/夫」の立場になります。
パラグラフの解説
今回の申請内容を宣言するのが最初のパラグラフの目的です。理由書を書くのは誰で、誰の配偶者ビザ(在留資格)の申請なのかを明記しましょう。例文と全く同じである必要はなく、以下の項目が網羅されていれば、どんな書き方でも構いません。
- 理由書の作成者(日本人配偶者の氏名)
- 申請人の国籍と氏名
- 在留資格「日本人の配偶者等」を希望する旨
パラグラフの作り方
見本のように、各パラグラフの先頭に見出しを付けてあげれば、すっきりした理由書になります。文書作成ソフトにはハイライト・マーカー機能があるので、それを利用すれば楽です。見本画像はWordを用いてグレーのハイライトを表示させています。
2.知り合ってから交際に至るまで
- 知り合った(出会った)シチュエーション
- どのように2人が交流を深めたのか
- 交際関係に至った時期・きっかけ
配偶者ビザの理由書の中で最も重要な部分といえます。上記の3つのポイントを、例文と一緒に説明していきます💁♀️
1.知り合った場面の書き方・例文
私は、2030年8月に、ベトナムにある料理店で夫と出会いました。そして――
こんな書き方でもOKなんですが、時間をかければもっと良くなります。以下の点を意識して、審査官に伝わる文章を練り直してみましょう。
- あなたは仕事で滞在していた?それとも観光?
- お店に訪れた理由は?お客として?市場調査?
- 外国人配偶者は従業員?お客さん?
- お店の名前もなるべく明記しておきたい
私は、仕事のためベトナムに駐在していた2030年8月に、昼食をとるためハノイ市にある飲食店「うまうまバインミー」へ立ち寄った際、同店で従業員として勤務していた夫と初めて出会いました。そして――
ここまで書けば十分といえます。こんな感じで、頭に絵が浮かぶような描写を心がけて理由書を作っていきます。例文のケースだと、以降はどうやってプライベートの仲に発展したか(連絡先の交換など)について記述していく流れになります。
SNSやアプリで知り合ったご夫婦は、そのサービス名(Instagramなど)を記載し、連絡し合うに至った理由(語学向上のため)などを記述します。
2.交流を深めた場面の書き方・例文
妻の帰国後、私は2030年2月に、アメリカへ渡航し妻と再会しました。その上――
例文は「あなたが外国人配偶者の母国を訪れたケース」を想定しています。上記の書き方でも良いのですが、もう少し具体的に記述できればベターです。以下の点を意識しながら、文章を再考してみましょう。
- 渡航したのは仕事で?プライベートで?
- どれくらい現地に滞在したの?
- 再会して何をしたの?
妻の帰国後、私は2030年2月に休暇を取り、妻との再会及び観光を兼ねて、約1週間アメリカへ渡航・滞在しました。妻は空港で私を出迎えてくれ、滞在中は現地の名物料理や史跡を堪能し、大変充実した時間を過ごせました。その上――
2つを見比べると、よりイメージの幅が広がった感じがしますね。自分で理由書を作成する場合は、これくらいのニュアンスで書くよう推奨します。食事や買い物、観光、アプリで連絡を取り合った、などの出来事をご夫婦の記憶からピックアップしましょう。
3.交際を始めた場面の書き方・例文
――そして、私と夫はお互いの人柄に惹かれてゆき、2030年11月にバンコクへドライブに出かけた際、夫から告白を受け、正式に結婚を前提とした交際を始めるに至りました。
きちんとした告白・アプローチがあれば、その年月を理由書に書いてください。具体的な告白がなく、自然と交際を始めたケースであっても、だいだい何年何月頃だったかを明記した上で、例文と同じようにその旨(自然と交際に発展したこと)を記述しましょう。これでこのパラグラフは完成です🙆♀️
一方または双方が既婚者だった場合は、補足説明の追記を推奨します(後述)。
3.交際から婚姻に至るまで
- 両家の家族に紹介したかどうか
- プロポーズ時のシチュエーション
- 正式な夫婦となった時期
これら3点を柱にして、交際中に起こった出来事を記述していきます。基本的な書き方は前のパラグラフと同じですが、こちらも例文とともに解説します💁♀️
1.家族に紹介した場面の書き方・例文
私はフランスに滞在中の2030年12月に、パリにあるレストランで、夫の家族へ直接、交際の挨拶を行いました。夫の家族も私を大変あたたかく迎えてくれ、現在に至るまで良好な関係を築けております。また――
妻が2030年12月に訪日した際は、私の実家へ妻を招き、私の親族へ対面で妻を紹介しております。私の親族も妻を丁寧にもてなしてくれ、2人の交際を喜んでくれました。そして――
親族への紹介や挨拶をしている夫婦は、配偶者ビザの審査で有利になります。偽装結婚の可能性は低い(真剣に交際している)と入管側に判断されやすいので、積極的にアピールしましょう。なお、対面ではなく、ビデオ通話などを用いて挨拶した場合であっても、同様にその旨を理由書に書いておくよう推奨します。
紹介や挨拶をせず、それぞれの家族に報告しただけのケースでは、報告した事実とその年月、その時の家族の反応を記述してください。
2.プロポーズの場面の書き方・例文
私と夫は交際を重ねる中で強く結婚を意識するようになり、2030年3月に、愛知県名古屋市内にある旅館「ほにゃらら」で夫からプロポーズを受け、この先の人生もともに歩んでゆくことを誓い合いました。翌日、――
いつ、どこで、どちらからプロポーズをしたのかが書かれていれば十分です。プロポーズを決意した理由やエピソードにも触れられればベターですね。もし、あなたたちご夫婦にプロポーズがなかった(自然とそういう話になった)場合は、具体的に結婚を意識し始めた時期を理由書に記述しておけばOKです。
3.夫婦となった時期の書き方・例文
その後、私と妻は順調に結婚の準備を進め、私が妻とその親族に会うためフィリピンに滞在していた2030年7月に、フィリピン側の婚姻登録が完了し、晴れて夫婦となることができました。帰国後、――
それから、私たちは結婚準備に着手し始め、今後は日本で一緒に暮らしてゆくことを再確認したのち、2030年7月に福岡市博多区役所へ婚姻届を提出いたしました。
海外で先に結婚したご夫婦は前者を、日本の市役所・区役所へ先に婚姻届を出したご夫婦は後者の書き方を参考にしてください。配偶者ビザの審査において、日本と海外どちらで先に結婚したかは有利・不利に影響しません。ここまで記載できたら、このパラグラフは終了です。ご夫婦の歴史が反映された理由書になっていますね💁♀️
4.身元保証について
- 身元保証人の職業・収入・預貯金額
- 追加身元保証人がいる場合はその人の情報
- 外国人配偶者の就労意志など
配偶者ビザの申請では、扶養者(生計維持者)の経済状況も許可・不許可に大きく関わってきます。そのため、このパラグラフでは審査官が納得するような説明をしてアピールにつなげていくのが目的です。
配偶者ビザ申請に必要な収入目安は月20万円:少ない場合の対処法は?1.職業・収入・預貯金額の書き方・例文
私は現在、株式会社ABCに勤めており、直近の年収を約×××万円いただいております。また預金額も約×××万円ございますので、私は日本で安定した生活を送っております。その上、私は宮城県仙台市にて一人暮らしをしており、妻が「日本人の配偶者等」在留資格をいただき次第、私の自宅で一緒に暮らすことを予定しております。
このように、さらっとまとめておけばOKです。例文は「日本人配偶者が扶養するパターン」を想定しています。もちろん、自分で主張するだけでは信憑性に欠けるので、理由書の記載内容を証明できる資料が必要です。下記の表を参考にして、該当する書類を準備・添付してください💁♀️
理由書に記述した内容 | 該当する立証資料 |
---|---|
自身は会社員である | 勤務先が発行する在職証明書 |
自身は会社役員である | 法務局が発行する法人登記事項証明書 |
年収がいくらか | 市役所等が発行する課税証明書・納税証明書 |
預貯金がいくらか | 金融機関が発行する残高証明書 |
2.追加身元保証人がいる場合の書き方・例文
この度の申請にあたり、私の実父である田中 一郎(以下、「父」と表記します)にも身元保証人を担ってもらっております。(中略)私たち夫婦に何か困り事があれば、父は可能な限り支援すると話してくれており、私たち夫婦はとても心強く感じております。
中略の部分は、1つ前の例文を参考に、追加身元保証人の職業・収入・預貯金額を記載します。日本人配偶者(あなた)と追加身元保証人の経済状況で十分カバーできるから、配偶者ビザを許可してねとお願いするニュアンスです。当然ですが、身元保証人を追加しない(あなた単独で申請する)場合、この例文は無視してください。
退職し年金受給等で生計を立てている場合、職業の箇所は書かなくてOKです。
3.申請人の就労意志の書き方・例文
なお、妻は来日後、自身の日本語能力を活かし、速やかに就職活動を行う予定となっております。妻は来日経験が豊富であり、日本の文化や商習慣を理解しているため、比較的容易に採用内定を得られるものと考えております。
夫は現在、株式会社ABCに勤務しており、テレワーク(リモートワーク)の仕事に従事しております。そのため、夫は「日本人の配偶者等」在留資格の取得後も就業場所に変更はなく、同内容の勤務形態を維持させる予定となっております。夫の年収は約×××万円を見込んでいるため、私たち夫婦はこの先も十分な暮らしを日本で送ることができます。
外国人配偶者に就労意志はあるが、まだ勤務先が決まっていない場合は前者を、既に日本国内で働いている(内定を得ている)場合は後者を参考にしてみてください。外国人配偶者が専業主婦・主夫になる予定であれば、この項目は書かなくてOKです。共働きを選択する場合のみ明記しておきましょう🙆♀️
5.終章・エピローグ
- 子どもや妊娠の有無
- 配偶者ビザ取得後の計画
- 早期許可のお願いなど
いよいよ理由書も最後のパラグラフです。配偶者ビザの申請にあたって、事前に入管に伝えておきたいことがあれば記述します。特に知らせることがない、まだ何も予定が決まっていないケースでは、無理に書く必要はありません。
1.子どもや妊娠の有無について
外国人配偶者が子どもを連れて日本に入国する予定ならその旨を、あなたが現在妊娠中であれば出産予定日などを記載した上で、母子手帳のコピーを申請書類に追加しておきましょう。外国人配偶者が妊娠中の場合は、現地の病院が発行した妊娠証明書・診断書に併せて日本語訳文を添付できればベストですね🙆♀️
妊娠中の配偶者ビザ申請まとめ:飛行機には乗れる?子どもの国籍は?2.配偶者ビザ取得後の計画について
無事に配偶者ビザの許可が下りたあと、国内の日本語学校に通学することが決定しているなら、その旨を記載し当該学校の入学案内などを添付するのも有効です。外国人配偶者の日本語が堪能なら、この先のコミュニケーションに問題がないことを明記し、それを裏付ける資料*を添付しておけば審査で少し有利になります。
*日本語能力試験N2,N3の合格証のコピーなど
3.早期許可のお願いについて
出産時期に間に合わせたい、結婚披露宴の日にちが迫っているなど、何らかの事情があって早く結果を通知してほしいケースでは、早期交付のお願い文をしたためるのも1つの方法です。こういう事情があるので、なるべく早く結果を通知してほしい、ご無理を承知でお願い申し上げます、といった文面で理由書に組み込むのが一般的です。
お願い文を書いても早期交付されない場合があります。基本的にはダメ元だと考えてください。
以上の事情をご理解いただき、この度の在留資格認定証明書交付申請(在留資格変更許可申請)に格別のご配慮を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
理由書の最後に、下記の文面をコピペすれば完成です。オレンジ色の単語はご夫婦の申請内容に応じてどちらかを選んでください。また終わりの印として、冒頭で紹介した見本画像のように、理由書右下の余白部分に以上と記載しておきます。
これで理由書が完成しました。お疲れさまでした🤗
理由書のよくある質問:配偶者ビザ
認定申請または変更申請の理由書を作成する際に、想定される質問を紹介します。
理由書の文章量の目安は?
何枚書けばOKというものではないですが、自分で理由書を作成する場合は、A4用紙で1~2枚程度が目安になるかと思われます。
この記事で説明した書き方を採用すれば、おそらくそれくらいの分量になるはずです。もちろん、3枚以上書いても構いません。削らずにそのまま入管局へ提出してください。私たちの事務所は平均して4~5枚、多いときで10枚を超えるケースもありますね💁♀️
文法上のミスは審査に影響する?
原則、配偶者ビザの許可・不許可には影響しません。日本語の文法(接続詞の使い方など)に多少の違和感があっても、理由書の内容が伝わればOKです。文頭に「私は」が連続したり、文末が全部「ました。」で終わったりしても構いません。
作成後は理由書を見直そう
時系列が上から一直線に見下ろせる理由書が理想です。事情を知らない審査官が読むものなので、自己完結的な文章にならないよう心がけてください。
Web検索を有効に使おう
自力で配偶者ビザを取得したご夫婦や、私たち行政書士が公開している例文も検索すれば少し出てきます。適宜使えそうなワードを拾ってください。
不倫に該当する場合は?
交際を始めた時点で、あなたや配偶者が既婚者であった場合は、入管局に変に詮索されないよう、事前に理由書へ補足説明を入れるのがベターです。
具体的には、下記のような「交際期間と前婚の期間が重なっていた原因・顛末」を記述します。新たにパラグラフを作ってもOKです。配偶者ビザ申請のポイントである婚姻の真実性(真剣交際であること)を補強するのが目的ですね💁♀️
- 婚姻関係は破綻していたが、子どもの自立後に離婚すると決めていた
- 婚姻関係は破綻しており、既に離婚の準備には着手していた
- 音信不通(所在不明)だったので離婚成立まで時間がかかった
作成は行政書士に依頼するべき?
そんなことはありません。配偶者ビザの申請は、必ずしも行政書士や弁護士さんを必要としません。そういうふうにできています。我々のような職業の人間にお金を払わなくても、本来は「自分たちで取得できる」ことを知っておいてください。それがこのサイトを運営している理由でもあります🙆♀️
とは言っても、私たちは依頼者様の味方です。入管局との間にワンクッションを置けるメリットは大きいですよ、と付け加えておきます。
配偶者ビザの延長に理由書は不要
- 今回の申請が配偶者ビザの延長(更新申請)である
- 前回申請時から夫婦仲、収入面ともに安定している
- 別居とみなされる期間がない:継続して同居している
これら3つの条件を満たしている場合、理由書の作成は原則不要です。上記に該当するご夫婦は、不許可になる可能性が非常に低いため、そもそも理由書を準備する必要がありません。ただし、以下のようなケースでは、更新申請でも理由書を添付するべきです。
基本的に、配偶者ビザの延長は許可が下りやすいという認識で構いません。
3年以上の在留期間が欲しいケース
配偶者ビザの有効期間を1年から3年、3年から5年に引き上げたいとお考えの夫婦は、理由書を書いてアピールするのが望ましいです。
ビザ自体の有効期間のことを「在留期間」といいます。理由書を添付しなくても、夫婦間に問題がなければ数回目の申請で3年の在留期間は付与されます。しかし、少しでも早く3年,5年の許可を取りたい場合は、理由書を準備しましょう。更新申請の理由書の書き方は以下の記事が参考になります。
配偶者ビザの更新・延長申請の理由書の書き方:3年を取得しよう配偶者ビザの在留期間とは:初回申請は1年有効が普通?再婚後に更新申請を行うケース
再婚に伴い、日本人配偶者が別人に変わっている案件は、審査の難易度が飛躍的に上がります。
日本に「再婚ビザ」は存在しないので、そのまま更新申請を行うことになりますが、許可を得るのは格段に難しくなります。配偶者が変更しているので、更新申請というよりかは、通常の変更申請(在留資格変更許可申請)や認定申請(在留資格認定証明書交付申請)と同等の審査になると考えてください。
あなたにとっては無関係
変更申請や認定申請を検討中の夫婦にとっては無関係です。このケースは「日本人と離婚し、かつ以前に取得した配偶者ビザの期限がまだ残っている外国人」と結婚した日本人が読むべき項目なので、該当しない方は無視してください💁♀️
別居期間があるケース
不仲による別居のほか、仕事の都合で別居期間が発生したご夫婦も、配偶者ビザの更新申請時に理由書を作成するのがベターです。
別居の事実があっても配偶者ビザを付与するべきと判断した裁判例*もありますが、ひとまず別居は配偶者ビザ申請において不利だと考えてください。このケースでは別居に至った時期や原因、別居を解消できた合理的な理由説明が求められるでしょう。
*京都地裁平成27年11月6日判決
配偶者ビザ申請(認定申請・変更申請)の理由書の書き方を解説しました。入管局が直感的に怪しいと感じても、客観的な理由書や立証資料があれば対抗できます。時間をかけて丁寧な書面を作成してください🙆♀️