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【図解】技能実習生との国際結婚を解説:配偶者ビザへ変更できる?

【図解】技能実習生との国際結婚を解説:配偶者ビザへ変更できる?

この記事のサマリー
  • 認定申請(帰国後の再度呼び寄せ)が原則
  • 実習生ビザから結婚ビザへの変更は限定的
  • 申請時期・添付書類・配偶者の経歴に注意

このページでは、来日中の技能実習生との結婚、技能実習ビザから配偶者ビザ(在留資格:日本人の配偶者等)の取得方法をテーマに解説しています。

技能実習生との結婚では認定申請が原則

STEP.1
職場の同僚として出会う

👉最初は業務上の連絡や軽い挨拶・相談のみ

STEP.2
プライベートでの交流が増える

👉LINEでの会話・通話や観光地巡りなど

STEP.3
お相手が実習期間を終え帰国

👉一緒に母国へ渡航(同伴)する方もいます

STEP.4
海外または日本で結婚手続き

👉あなたが渡航するか相手が短期訪日して婚姻

STEP.5
配偶者ビザ(在留資格)を申請

👉現地大使館で査証発給ののち来日

多くのご夫婦は上記のような流れで配偶者ビザを取得しています。このように、技能実習を終え、一旦母国へ帰国してから配偶者ビザを申請する方法のことを、認定申請(在留資格認定証明書交付申請)といいます。実務上、技能実習生との国際結婚においては認定申請を用いることが原則とされています。

結婚ビザの在留資格認定証明書交付申請とは?結婚ビザの在留資格認定証明書交付申請とは?

なぜ一度帰国するルールなのか

  • 技能実習制度が帰国を前提に成り立っている
  • 勤務先や組合(監理団体)からの承諾が必要

実習生が帰国しなければならない理由は、主に上記2つが挙げられます。配偶者ビザを申請する前に、ざっくり把握しておきましょう。


技能や知識の移転を図る

日本で培われた技能や知識を「他国へ移転させること」が技能実習制度の本来の目的です。そのため、実習生は原則帰国が求められます。

労働力を買い叩いているとの批判もよく耳にしますが、名目上は日本の各種技術を開発途上国で活用してもらい、現地の経済発展に寄与することが目的です。つまり、実習中に得た知識を自国に持ち帰らないと意味がないため、仮に結婚したとしてもとりあえずは母国へ帰国してほしい、というのが日本政府のスタンスになります。


実習先から結婚を禁止される

前述の理由もあり、一部の実習先では「実習期間中の結婚」そのものを禁止しています。そのほか、実習先からの承諾が得られない事例もあります。

実習期間中に配偶者ビザを取得する(帰国せずにビザを切り替える)ケースでは、実習先からの承諾書類が必要になります。しかし、会社側も契約に基づいて技能実習生を受け入れているため、「👸結婚したので辞めます 🏬了解しました」とは通常なりません。よほどの事情がない限り、実習中の配偶者ビザ取得は断られると考えてください。

帰国ルールの例外

珍しいケースになりますが、婚約者が技能実習を修了し、特定技能ビザへ移行する場合、帰国の必要はありません。

技能実習生との結婚手続き

前項で説明したとおり、ほとんどのご夫婦は実習期間が満了してから結婚手続きに着手します。契約期間が終われば実習先は関与しなくなるので、自由に婚姻のスケジュールを組める点がメリットといえますね💁‍♀️

婚姻手続きに必要な書類を持参する

海外で先に結婚する場合は日本人が書類を持参し、日本で先に婚姻するのであれば、外国人が本国から書類を持参する流れになります。


仮に会社や組合と交渉し、実習期間はきちんと満了する条件で結婚を認める内容の合意をした場合は、お相手の帰国前に婚姻手続きを済ませておきましょう。いずれにせよ配偶者ビザの申請は帰国後になりますが、そのあとの段取りがスムーズに運びます。

📌実習期間中の婚姻(一例)
STEP.1
本国から独身証明書等を取り寄せる

現地親族に協力してもらい代理取得・郵送

STEP.2
婚姻要件具備証明書を受領する

日本にある外国大使館・領事館にて交付
独身証明書等と引き換えるイメージ

STEP.3
婚姻届を日本の市役所・区役所へ提出

このタイミングで具備証明書の添付が必要

STEP.4
日本にある外国大使館等へ婚姻を報告
両国での婚姻成立がゴール

STEP.4を終えると、外国大使館・領事館から「結婚証明書」が交付され、日本と海外の両国での結婚が成立します。

ベトナム国籍者との婚姻について

組合が発行する結婚の同意書が必要

ベトナム人実習生と結婚する場合は、婚姻要件具備証明書を発行してもらう段階で、実習先発行の「結婚同意書」が必要になります。

ベトナム国籍の技能実習生との結婚では、配偶者ビザの申請時だけでなく、国際結婚手続き(具備証明書の受領)においても実習先からの同意・承諾が求められる点に注意してください。簡単にいうと、会社や組合に内緒で進めることはできません。もちろん、実習期間を終えたあとであれば、同意や承諾は不要です💁‍♀️

技能実習ビザから配偶者ビザへの変更

重要なので繰り返しますが、技能実習生のビザから配偶者ビザへの変更は原則認められません。勤務先や組合(監理団体)からの承諾を得られれば申請自体は可能ですが、外国人妻または日本人妻が妊娠中などの事情がない限りは避けるよう推奨します。

承諾書の見本・サンプル

組合と受入企業からの承諾が必要

外国人実習生は、組合などの監理団体へ一旦派遣されたのち、勤務先となる会社へさらに派遣されます(一部の大企業を除く)。

上記のように2つの組織が関与するため、配偶者ビザの申請では原則、1監理団体と2勤務先の双方の承諾書が求められます。なお、出入国在留管理局側で書式は指定されておらず、形式は自由です。法務省公表の必要書類に追加するかたちで整えてください。

組合・監理団体からの承諾書

監理団体側で準備してくれるので、あなたが作成する必要はありません。技能実習ビザからの変更申請を認める内容が書かれていればOKです。国際結婚の手続きが終わってから発行を依頼しましょう。承諾を渋られたら認定申請へ移行してください。

※書式やデザインは各団体で異なります。

在留資格変更承諾書(組合発行)

勤務先からの承諾書

会社側が作成する承諾書も、内容はほとんど変わりません。組合発行と同様、変更申請を認める旨の記載があれば使用できます。婚姻成立後に発行をお願いしましょう。

※書式やデザインは各企業で異なります。

在留資格変更承諾書(勤務先発行)

不許可になるケースもある

申請が入管局に受理されることと、配偶者ビザが交付されるかどうかは別の話なので、審査の結果、承諾書を手配しても不許可になる可能性があります。そもそも「一度帰国してください🙏」という技能実習制度に逆らう内容になるため、審査のハードルが認定申請より上がる点を念頭に置いておきましょう。

実習生のビザ変更は特別な事情が必要

まとめると、特別に許可を与えなければならない事情(妊娠など)がないと、技能実習から結婚ビザへの変更は難しいということですね。


当事務所にご依頼いただいたご夫婦の中には、特別な事情もなく、普通に結婚して普通に配偶者ビザを取得した方もいます。ただし非常に珍しい事例なので、基本は不許可になるという認識を持ってください🙅‍♀️

実習生(研修生)は偽装結婚を疑われやすい

お金目的の結婚か真実の結婚かを審査される

実際の申請では、真実の結婚なのか、ビザ目的の結婚なのかを入念に調べられます。技能実習生との結婚ならではのネックといえますね。

誤解を恐れずにいうと、外国人実習生の多くは「日本の技能を母国で活用して貢献したい」という気持ちより「お金を稼ぎたい」という現実的な目標を抱いて来日します。入管局の審査官もこういった本音と建前を理解しているので、就労目的の結婚(偽装結婚)を疑う傾向があります。

配偶者ビザがあると日本人と同等に働けます(就労制限がなくなる)


夫婦に愛があるかどうか

働くために結婚するのはNGで、結婚したので仕事を始めるのはOKです。前者は偽装結婚とみなされ不許可になります。

配偶者ビザの取得後、家計を支えるために就職することは認められます。また外国人妻がアルバイトに励み、いくらかを本国に仕送りしているご家庭もたくさんあります。ただし、伝え方を間違えると審査官の受ける印象は変わってしまいます。ご自身で申請書類を作成する場合は、誤解のない記載・記述を心がけましょう。

実習生の配偶者ビザ申請を有利に進める方法

これまでの内容を踏まえて、元技能実習生(研修生)の結婚ビザ取得で意識したいポイントを紹介します。以下の3点を把握しておいてください。

実習終了後から期間を空ける

元技能実習生の配偶者ビザ申請のタイミング

技能実習を終えてから、お相手はしばらく母国で過ごされるのが望ましいです。帰国後すぐに申請するとマイナスに評価され得ます。

入管法には明記されていませんが、実習の制度上、母国へ帰国していた期間が短いほど不利になります。しかし、通常は帰国後に親族との顔合わせや、結婚手続きの準備に取り掛かるので、あまり問題にはなりません。極端な例を挙げると、お相手が母国に戻って1,2週間後に入管局へ申請するのは避けるべきといえます。

どれくらいの待期期間が必要?

ご夫婦の事情に左右されるため、標準的な期間はありません。就労系(技人国)ビザなら1年、短期滞在ビザなら6ヵ月などの目安があるものの、配偶者ビザに関しては半年以内でも許可が下りている印象を受けますね🙆‍♀️

実習の途中で帰国した場合は?

実習先を退職した理由にもよりますが、配偶者ビザを取得できる可能性はあります。身体的な病気や精神的なストレスが引き金になった場合は、その点に関しても申請書類で伝えておくよう推奨します。辞めたという事実のみを記載するのはNGです。

必要書類以外の資料も準備する

必須書類と補足書類

技能実習生(研修生)との結婚に限らず、法務省が指定する書類以外の補足資料を適切に添付すれば、ビザ申請は有利になります。

認定申請の必要書類は法務省Webサイトから最新情報を確認できます。もちろん、公表されている書類を準備すれば配偶者ビザの申請は受理されますが、下記に挙げる資料も用意しておけばよりスムーズな審査が見込めます。提出できそうな書類があれば、率先して申請書類に組み込んでください。

  • 日本語能力試験の合格証
  • 預金残高証明書/通帳コピー
  • 日本人親族からの嘆願書

日本語能力の証明書類

日本語能力認定書

外国人配偶者が何らかの日本語テストに合格していれば、その証明資料を必要書類に組み込みます。日本語力があるほど審査は有利です。

日本語を勉強している事実は、日本人(あなた)とコミュニケーションを図ろうとしている証拠となります。加えて、仕事やお金だけが目的の技能実習生は、積極的に語学を学ばない傾向があるので、アピールすべき項目とされています。

給料収入以外の資産証明書類

残高証明書の見本

100万円以上の貯金があれば、金融機関から残高証明書を取得しておきましょう。経済的に安定しているご夫婦は審査がスムーズです。

会社が支給する給与額については、必須書類である課税証明書や納税証明書から確認されます。給与以外の資産状況も併せてアピールしておけば、外国人配偶者が仕事をする必要性が低くなる点、つまり「元勤務先(実習先)で働くために配偶者ビザを申請しているかも🤔」という入管側の疑いを晴らすことに繋がります。

親族の署名が入った嘆願書

嘆願書の見本

「私も今回の結婚を歓迎しているので、審査にご配慮をお願いします」と依頼する文書のことを、この記事では嘆願書と表現しています。

嘆願書に関しては、親族や知人たちと撮影したスナップ写真があれば、添付は原則不要と考えられます。親しげな写真を見るだけで歓迎・応援されていることが把握できるので、書面を作成しても効果は薄いといえますね。

実習生時代の経歴をチェック

技能実習生として訪日する際、虚偽の報告をしていないか、また来日後に法律違反がなかったかを念のため確認しておきましょう。ごくまれに、他者の名義を借り偽造パスポートで入国していた事例や、結婚歴の詐称が判明するケースもあります。この場合は当然不利になるので、反省文などを添付しリカバリーを図るのがセオリーです。

昔の書類も審査対象

配偶者ビザの審査では、技能実習ビザを取得したときの申請データも改めて参照されると考えておいてください。


技能実習生(研修生)との国際結婚、配偶者ビザ申請について解説しました。実習中だけでなく、帰国後に連絡を取り合って交際に発展したご夫婦も多いです。交際時期に関しては、嘘をつかずに堂々と記載しましょう🙆‍♀️

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